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第93回センバツ高校野球

第93回選抜高校野球大会の特集サイトです。3月19日から4月1日まで阪神甲子園球場での熱戦を全試合ライブ中継します。

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第90回選抜高校野球

大阪桐蔭、春連覇 経験、伝え育て大輪

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【智弁和歌山-大阪桐蔭】三回裏2死、中前打を放つ大阪桐蔭の青地斗舞選手=阪神甲子園球場で2018年4月4日、猪飼健史撮影 拡大
【智弁和歌山-大阪桐蔭】三回裏2死、中前打を放つ大阪桐蔭の青地斗舞選手=阪神甲子園球場で2018年4月4日、猪飼健史撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 近畿勢対決となった4日のセンバツ決勝は、大阪桐蔭が智弁和歌山を降し、史上3校目となる春連覇の偉業を成し遂げた。不本意に終わった昨夏から出直してきた大阪桐蔭。「王者」の座を奪おうと食い下がる智弁和歌山。両校ナインはチームや家族の絆、プライドを胸に春の聖地で躍動し、試合後も拍手がしばらく鳴りやまなかった。

 マウンドにできた歓喜の輪。大阪桐蔭の18人中、7人が1年前も同じ体験をしていた。昨春も優勝投手になった根尾昂(あきら)選手(3年)は「去年は先輩に優勝させてもらった。その経験で勝つことができた」と強調した。

 過去7校ある春夏連覇に対し、春連覇は3校目。選手が入れ替わるため、より難しい。36年ぶりの快挙の裏には、下級生から経験を積ませる大阪桐蔭の育成方法がある。

 西谷浩一監督(48)が1993年から約5年間務めたコーチ時代に改革した。当時は1年生が雑用係を務めるのが当たり前だったが、「勝つためには1年生を練習させるしかない」と発想を転換。雑用はさせず、空いた時間を練習に充てた。

 あれから20年余り。高校野球界を代表するチームになった今も、下級生を育てる考え方は変わらない。秋季大会後には練習試合などで全部員(現在41人)に同じ打席数を経験させ、実戦を積ませる。また、今年1月には中川卓也主将(3年)の発案で、上級生同士のキャッチボールを上級生と下級生に変更。中川主将と組んだ宮本涼太選手(2年)は「先輩との会話が多くなった。経験を伝えようとしてくれたのだと思う」と振り返る。

 下級生を育てる大阪桐蔭の手法は、「教育の一環」という高校野球の原点にも重なる。【安田光高】

夏の悔い、成長の糧

 紫紺の優勝旗が再びチームに戻った時、大阪桐蔭の青地斗舞(とうま)選手(3年)は、苦しかった生活が報われる気がした。「悔しさがあったから頑張れた」

 中学時代は1年から4番。高校ですぐレギュラーになるつもりだったが、長打力あふれるチームメートを見て「レベルが違う」と自信を失った。厳しい練習で食欲もなくなり入学時76キロの体重は1年冬に63キロまで減った。

 やせた体で迎えた昨年のセンバツ。藤原恭大(きょうた)選手が決勝で2本塁打を放つなど同級生が活躍したが、自身はボールボーイとして見守るだけだった。

 昨夏の甲子園は3回戦で仙台育英(宮城)にサヨナラ負けし、この時もボールボーイ。「プレーもできず負けた。悔しかった」

 だが、自他ともに認める負けず嫌い。「このまま終われない」。新チームになる頃、2年の春からひそかに取り組んでいた肉体改造の成果が出始めた。ベンチプレスを使った全身の筋力トレーニングに加え、1合だった夕食の米飯を3合も食べ、秋には体重が戻り試合の出番も増えた。近畿大会優勝でセンバツを視野に入れた。

 青地選手は昨年末までの公式戦でレギュラー最高打率4割5分7厘を記録、元々の打撃センスが開花した。西谷浩一監督も「努力を惜しまない」と評価し、センバツは2番・右翼手に据えた。選手として初めて入った甲子園で、春連覇という最高の結果を迎えたが「満足せず、自分を鍛え続けたい」。【加藤佑輔】

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