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木造アパート耐震化進まず 熊本地震、倒壊で東海大生死亡

熊本地震では学生が住んでいた木造アパートの倒壊が相次いだ=熊本県南阿蘇村で2016年9月16日、本社ヘリから矢頭智剛撮影

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 14日で発生から2年となる熊本地震。熊本県南阿蘇村では木造アパートの倒壊が相次ぎ、東海大農学部の学生3人が亡くなった。専門家の調査で、倒壊アパートの多くで強度が不足していたことが判明したが、木造アパートは戸建て住宅に比べて耐震工事に対する自治体の補助は十分とは言えず、共同住宅ゆえの課題も横たわる。専門家は支援の必要性を訴えている。

 前震2日後の2016年4月16日未明、2度目の最大震度7を観測した本震が南阿蘇村を襲った。同村の東海大阿蘇キャンパスには農学部と大学院の学生約1000人が在籍し、周囲には学生向けのアパートや下宿が集まっていた。地震で木造アパート7棟が倒壊。今や現場のがれきは撤去され、広がる更地があの日から2年がたつ時の流れを物語る。その一角には犠牲となった学生3人を悼み、今も花が手向けられている。

 ●筋交い、金具なし

 なぜ木造アパートの倒壊が相次いだのか。本震2日後に調査に入った国土交通省国土技術政策総合研究所などによると、倒壊した木造アパート7棟のうち目視で確認できた5棟で、柱と柱の間に補強のために入れる「筋交い」や、柱の接合部に金具などが使用されず、くぎ打ち程度の軽微な接合方法だったことが明らかとなった。

 木造建築物の接合の不十分さは、1995年の阪神大震災で問題となり、00年の建築基準法施行令改正で、接合部に金具を使用するなどの具体的なルールが初めて設けられた。しかし、それ以前に建てられた木造アパートは、接合方法の明確なルールがなく、南阿蘇村で倒壊したアパートのようにくぎ打ちだけの軽微な接合で施工されている建物が多いとみられる。

 ●家主の負担重く

東海大生が犠牲になったアパートの跡地。手前には花や飲み物が供えられていた=同村で4日、山下俊輔撮影

 専門家らは古いアパートの耐震診断や耐震補強工事が急務と訴えるが、自治体によっては戸建て住宅への補助制度はあっても、木造アパートはないケースがある。熊本県は地震を受けて「耐震改修促進計画」を策定し、建築物の耐震化を支援しているが、木造戸建て住宅に最大60万円を補助する一方、木造アパートへの補助は設けていない。県建築課の担当者は「熊本地震で被害が大きかった木造戸建て住宅の補助に重点を置いた」と説明する。

 南海トラフ地震で大きな被害が予想される高知県では、木造アパートを含む共同住宅で1部屋当たり最大46万2000円、1棟当たり最大185万1000円を補助する制度がある。ただ、高知県のように補助制度があってもアパートのオーナーが耐震化に踏み切れないケースもあるという。

 耐震工事の関係者によると、戸建て住宅に比べて費用が高くオーナーの負担が大きいことや、入居者がいる状態での工事を実施することの難しさがある。工事が始まれば、アパートを覆う足場で日当たりが遮られたり、工事騒音に悩まされたりと日常生活に支障が出ることも考えられる。

 さらに、ある工事関係者は「費用分を家賃に転嫁すれば入居者が出て行ってしまう可能性もある」と指摘する。

 ●自治体補助に差

 日本建築学会九州支部災害調査委員会委員長として熊本地震の被災地を調べた福岡大の高山峯夫教授(建築構造)は「南阿蘇村では木造アパートが被害に遭っている一方、鉄筋コンクリートのアパートは被害がなかった」と、木造アパートの耐震性の低さを指摘。自治体間で補助制度に差がある点について「補助がなければ耐震化に二の足を踏む人が多く出る恐れがある。補助制度があって初めて耐震工事を検討してみようとなるわけで、国は木造アパートの耐震化が進む方策を考えるべきだ」と話す。【山下俊輔】

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