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余録

後にスタジオジブリ代表になる鈴木敏夫さんが…

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 後にスタジオジブリ代表になる鈴木敏夫(すずき・としお)さんがアニメ誌の記者として電話で取材を申し込んだのが、高畑勲(たかはた・いさお)さんとの「出会い」だった。高畑さんはなぜ取材に応じないかを1時間話し、隣の宮崎駿(みやざき・はやお)さんに代わった▲今度は宮崎さんが、取材で聞いてほしいことがありすぎて16ページは誌面がほしいと30分話す。ちょっとしたコメントがほしかった鈴木さんはさすがにあきれ、1時間半もの電話は一行の記事にもならなかった(「仕事道楽」岩波新書)▲ここから始まった3人のかかわりがアニメ史を大きく変える作品を次々に生み出したのだから、運命とは不思議である。それぞれのキャラがにじみ出た最初の電話だったが、「貫いている人」とは先の本での鈴木さんの高畑さん評だ▲若くして宮崎さんとコンビを組み、交互に作品を発表してきたジブリでは「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」などを作った高畑さんである。ついには「かぐや姫の物語」の躍動する線と余白の映像美を完成させたその歩みだった▲ある時「夢を見るのか」と聞かれた宮崎さんは、「見ますよ。僕の夢はひとつしかない、いつも登場人物は高畑さんです」と答えた。先輩として、ライバルとして、常に高畑さんを意識して仕事していたからだと鈴木さんは説明する▲ライバルは水争いに由来する言葉というが、アニメという大河の水を分かち合い、お互いに豊かな実りを生み出した二つの偉才である。貫いた情熱のみごとな果実をこの世に残し、高畑さんは旅立った。

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