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余録

「二天」「二天道楽」は剣豪…

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 「二天」「二天道楽」は剣豪、宮本武蔵(みやもとむさし)の号という。その二刀流の兵法は晩年、「二天一流」として完成された。その理念を記した「五(ご)輪(りんの)書(しょ)」は、かつて日本流ビジネスの指南書として米国でもよく読まれた▲ただし今日、目にすることができる武蔵のすごさは剣術ではなく、その画家の才である。重要文化財の「枯木鳴鵙(こぼくめいげき)図」「鵜(う)図」「紅梅鳩(はと)図」といった水墨画は、江戸時代から「超凡」と絶賛されてきた。天は二物を与えることもあった▲よく「二刀流」といわれる米エンゼルスの大谷翔平(おおたに・しょうへい)選手だが、思えば「打」と「投」はその最高峰では剣術と描画術ほどに異なる才が求められよう。まさに二つの理法を一身で体現する投打の二天一流に米日の野球ファン騒然である▲シーズン前は投打の活躍に懐疑的だった米メディアだが、投手としての初勝利と3試合連続本塁打でその鼻を明かした大谷選手だった。それがきのうの登板では七回1死まで連続19打者を打ち取り、奪12三振の快投で2勝目をあげた▲「この星生まれじゃない」との驚嘆は、日本での「野球まんがみたい」と重なろう。米国では金銭的条件を度外視して大リーグでの二刀流に挑んだいきさつも改めて注目され、その「現実離れ」が野球の魅力を掘り起こしたかたちだ▲聞けば野球は昨今、その故郷・米国でも人気の低落傾向が心配されている。ボールパークは少年の夢を生き生きと輝かせるファンタジーの舞台としてよみがえるのか。さあ、「イッツ、翔タイム!」である。

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