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シリア

空爆、140人死亡 救急隊員証言、化学兵器か 東グータ

化学兵器が使われたとみられる攻撃後、酸素吸入の治療を受ける幼児=シリアの東グータ地区で民間防衛隊「ホワイトヘルメッツ」撮影の映像から8日、AP

 【カイロ篠田航一、ブリュッセル八田浩輔】シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域・東グータ地区で7日、化学兵器を使用したとみられる空爆があり、在英民間組織・シリア人権観測所によると、少なくとも子供を含む21人が呼吸困難の症状で死亡した。民間ボランティア組織・シリア民間防衛隊「ホワイトヘルメッツ」は、塩素ガス弾が使われ、40人以上が窒息死したと主張。数百人が治療を受けているとみられ、犠牲者はさらに増える恐れがある。

     現地で救命活動にあたった30代の救急隊員の男性は毎日新聞の取材に「間違いなく有毒ガスが使われた。多くの子供が呼吸困難に陥ったが、砲撃が激しく、救急隊員の到着も遅れている。死者は少なくとも140人に上り、地獄のような惨状だ」と話した。

     欧米諸国はシリア政府軍による攻撃としているが、政権側は「使用したのはテロリスト(反体制派)だ」と反論している。

     空爆があったのは、東グータ地区に最後まで立てこもっていた反体制派武装組織の「イスラム軍」が拠点とする町ドゥーマ。イスラム軍は8日、48時間以内に東グータから撤退することで政権側と合意した。東グータは2011年の内戦開始後、首都近郊に残る数少ない反体制派拠点で、政府軍は6日からドゥーマ空爆を強化していた。

     米国や英国、フランスなど8カ国の要請を受け、国連安全保障理事会は9日(日本時間10日未明)、緊急会合を開催する。ヘイリー米国連大使は「安保理は結束して、救援隊の早期活動を要求し独立調査を支持するとともに、この残虐行為の責任を追及しなければならない」と述べた。

     化学兵器禁止機関(OPCW)のウズムジュ事務局長は9日の声明で「重大な懸念」を表明した上で、調査を始めたことを明らかにした。シリアでの化学兵器使用を巡る国連との合同調査機関(JIM)は安保理常任理事国ロシアの拒否権行使により昨年末で終了に追い込まれ、OPCWの事実調査ミッションが単独で情報収集にあたっている。

     シリアでは化学兵器使用が相次いでいるとみられ、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部・米ニューヨーク)は今月4日、シリアで13年8月から18年2月までに確認できた85件の化学兵器攻撃のうち、アサド政権が50件以上に関与したと発表した。昨年4月には北西部イドリブ県ハンシャイフンで猛毒神経ガス・サリンが使用され、約90人が死亡。トランプ米政権は即座に「アサド政権による攻撃」と断定し、西部シャイラット空軍基地を巡航ミサイルで攻撃した。

     一方、シリア国営メディアなどは9日、中部ホムス県の空軍基地にイスラエル軍機によるミサイル攻撃があり、シリア政府軍兵士ら14人が死亡したと伝えた。政府軍と共闘するイラン人も含まれているという。ホムスへの攻撃について国営テレビは当初、米軍によるものと報じたが、米国防総省は関与を否定した。

    米、再攻撃の可能性 トランプ氏「一両日中に決断」

     【ワシントン高本耕太、ブリュッセル八田浩輔、モスクワ大前仁】トランプ米大統領は9日午前、ホワイトハウスで開いた閣議の冒頭、シリアでの化学兵器使用を「残忍で凶悪」と改めて非難し、「今後24~48時間以内」に重大な決断をするとの考えを示した。前日の8日にはアサド政権が「大きな代償を払うことになる」とツイッターで警告しており、昨年4月に続く軍事行動に踏み切る可能性もある。9日には超タカ派で新任のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)統括の下、国家安全保障会議の幹部会議が開催される見通しだ。

     トランプ氏は8日、マクロン仏大統領と電話で協議し、化学兵器使用に関し「アサド政権が責任を負うべし」との認識で一致し、「強力な合同の対抗措置」の実施も確認した。シリアに派遣した米軍の早期撤収も主張するトランプ氏だが、この日はツイッターに「けだもののアサド」と投稿。アサド政権の後ろ盾のプーチン露大統領やイランも強く非難した。

     トランプ政権は昨年4月にシリアの化学兵器使用への対抗措置として、シリア空軍基地へ計59発のミサイル攻撃を実施。これがアサド政権に戦略転換を強いるまでの影響を与えていないとみて、再攻撃に踏み切った場合、より大規模なものになる可能性がある。トランプ氏は9日、米軍幹部らとの会合も予定しており、軍事選択肢について説明を受けるとみられる。また欧州連合(EU)も8日の声明で、被害状況などの証拠からアサド政権による化学兵器攻撃だと示唆されると指摘し、「化学兵器が、特に民間人に使用され続けているのは重大問題だ。最も強い表現で非難する」と述べた。

     一方、露外務省は8日、東グータ地区で住民が塩素ガスで攻撃されたとの情報を否定する声明を発表し、「根拠がなく、偽りの臆測は、テロリストと、妥協しようとしない反体制派をかばう狙いがあるものだ」と反論。さらに「(外部勢力が)シリアへ軍事介入すれば、政府の依頼を受けて露軍が駐留していることから、容認できるものではなく、最悪の結果を招く恐れがある」と指摘した。

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