ボスニア「民族浄化」から四半世紀/2 格差なき補償、女性に 国家内国家、救済の壁
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「裁判費用3000マルカ(約20万円)を支払え」。ボスニア・ヘルツェゴビナ北東部ツズラ近郊に住むセムカ・アジッチさん(64)の自宅に2月、3度目の督促状が届いた。アジッチさんが戦争被害の補償を求めて提訴し、敗訴したためだ。「セルビアに息子を殺され、私は性的暴行を受け奴隷労働もさせられた。そのうえ大金を払う? あり得ない」。アジッチさんは声を荒らげた。
ボスニアには紛争後、ボスニア人、クロアチア人主体の「ボスニア連邦」とセルビア人主体の「スルプスカ共和国」の二つの「国家内国家」ができた。外交などは主権国家のボスニア・ヘルツェゴビナが担うが、財政、戦争補償など実務は連邦とスルプスカに権限がある。性暴力被害への補償について、双方の意見は真っ二つに割れた。
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