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@大学 歯科医への道厳しく 国家試験合格率60%台、学部も定員減

「狭き門」となった歯科医師を目指し、臨床基礎実習に取り組む学生=東京歯科大提供

 歯科医師国家試験の合格者が3月19日に発表された。合格率は64.5%。5年連続の60%台で、同時に発表となった医師国家試験の91.0%と大きく差が開いた。政府主導による歯学部の定員削減も進み、大学にとっても、歯科医を目指す生徒、学生にとっても、厳しい状況が続いている。

     厚生労働省の発表によると、歯科医師国家試験はこの10年ほど、受験者は3000人台前半、合格者は2000人前後で推移している。厚労省と文部科学省が2006年に確認書を取り交わし、同試験の合格基準を引き上げたことがきっかけだ。今年の試験では新卒者の合格率は77.9%だったものの、既卒者は43.5%。新卒、既卒とも合格率が8割を超える大学もある一方で、新卒合格者数が1桁だったり、既卒合格率が2割を切ったりしている大学もあり、格差が広がっている。

     両省はまた、歯学部の定員削減を各大学に要請することでも合意。全国全29歯学部の昨年度の入学定員は2482人で、1985年度に比べ26.6%減少している。

     ●「過剰感」を背景に絞り込み

     こうした背景には、人口10万人当たり80人を超える歯科医師数を「過剰」とする見方がある。厚労省の検討会は06年、「新規参入歯科医師数を1200人程度とする必要がある」と報告。「入り口」の大学入試と「出口」の国家試験で、絞り込みが図られている。

     「歯学部志願者は、理系人気が回復した10年度も前年度より2割減少し、不人気の象徴でした。その後持ち直したものの、15年度くらいからまた停滞しています。下位校は定員割れが目立ち、上位校も定員増で入りやすくなった医学部に併願者が流れてしまっています」と河合塾教育情報部の富沢弘和部長はみる。

     東京歯科大の片倉朗教授は「歯学部生は歯科医以外の職に就くのが極めて難しい。多額の費用と最低でも6年の時間をかけ、毎年1000人が行き場を失っている」と現状を憂える。同大では、成績や学生が抱える問題などのデータを教務部が一元管理し、教員に提供している。学内試験で平均点が悪かった分野を担当した教員には、教務部からすぐに連絡が入る。「職員も教育者」という位置づけだ。既卒者にも指導教員をつける徹底ぶりで、国家試験合格率9割を7年連続で維持している。「入学させた以上、きちんとした歯科医にするのが我々の責任。診察に欠かせないコミュニケーション力の育成にも力を入れています」と、井出吉信学長は自信を見せる。

     職業としての歯科医の魅力を学生に認識させることも、歯学部の大切な役割となってきている。岩手医科大歯学部では11年、米国・ハーバード大歯学部と提携して学生を相互受け入れするなど、教育改革に取り組む。また、東日本大震災での経験を生かし、法歯学と災害歯学を合わせた講座もスタートさせ、社会貢献にも目を向けさせている。「地域医療を担う責任感と同時に、海外への目も育ち始めています」と三浦広行学部長は話す。

     ●医療の進化見すえた教育を

     フッ素によるケアや歯磨き習慣の浸透により、虫歯の患者や総入れ歯の人は減少している。「高齢者も自分の歯を多く残せるようになり、治療法の選択肢が増えました。その一方で、義歯のように外すことができないので、自分で口の中をきれいに保てない人も増えています」と東京医科歯科大歯学部付属病院長の若林則幸教授は指摘する。訪問診療などに対応する歯科医も増えているが、高齢者の多くは内科的疾患を抱えているため、治療が複雑になるケースも少なくない。「こうした疾患形態の変化に対応し、安全な歯科医療を提供できる体制を、地域の歯科医を中心に整えることが重要です」

     デジタル化などによって、治療技術も急速に進化している。「医療の役割や仕事内容の変化が予想される中、歯科医の数が多いかどうかを、今の状況で判断することはできない」と若林教授は言う。「大学で学んだ技術が、いずれ役に立たなくなってしまう時代です。知識を覚えることよりも、卒業後も学び続けられる力を身につけさせることが、歯学部だけでなく今の教育現場に求められています」【上杉恵子】

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