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暴力の記憶

セルビア、クロアチア、ボスニアの3民族が戦った旧ユーゴスラビアのボスニア紛争から四半世紀。当時、性的暴行の被害に遭った女性たちは、今も暴力の「記憶」を引きずり、深刻な心身の傷に苦しんでいた。

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暴力の記憶

ボスニア「民族浄化」から四半世紀/3 ホテルで女性200人暴行 観光の町、消し去る惨事

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ホテル「ビリナ・ブラス」の廊下=ボスニア東部ビシェグラードで3月10日
ホテル「ビリナ・ブラス」の廊下=ボスニア東部ビシェグラードで3月10日

 ボスニア・ヘルツェゴビナ東部ビシェグラード中心部から車で5分。小高い丘の中腹に森に囲まれたホテルがある。ボスニア紛争(1992~95年)中にボスニア人女性約200人が拘束され、何度も性的暴行を受けた上、殺害された「ビリナ・ブラス」だ。ボスニア人からは「レイプ・キャンプ」と呼ばれる。戦後、セルビア人主体の「国家内国家」、スルプスカ共和国となった町で、ホテルの営業は再開された。

 3月中旬にホテルを訪れると、外壁は塗り替えられてはいるが、建物は当時のまま。NGOによると性的暴行に使われたベッドもフレームは変わっていないという。ビシェグラードは、16世紀にオスマントルコが建造した「世界遺産」の橋が有名で、多くの観光客が集まる。ホテル駐車場の車の大半は隣国のセルビア、モンテネグロのナンバー。部屋は8割方埋まっており、温泉を使ったプールでは高齢者ら約30人がくつろいでいた。

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