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大分・中津の山崩れ

不明の5人、捜索続く 住民男性1人死亡

土砂崩れ現場=大分県中津市耶馬渓町で11日午後2時41分、矢頭智剛撮影
日が暮れても捜索が続く現場=11日午後7時14分、津村豊和撮影

 大分県中津市耶馬渓(やばけい)町金吉(かなよし)で11日未明に起きた山崩れで、安否不明だった男女6人のうち、男性1人が土砂の中から救助されたが死亡が確認された。【池内敬芳、津島史人、井上卓也】

     県などによると、亡くなったのは会社員、岩下義則さん(45)。死因は圧死だった。依然、安否不明なのは、岩下さんと同居する母の岩下愛子さん(76)▽橋本アヤ子さん(86)、橋本さんの娘の江渕めぐみさん(52)、孫の江渕優さん(21)の家族▽1人暮らしの岩下アヤノさん(90)--の女性5人。山崩れは高さ約100メートル、幅約200メートルに及び、住宅3棟が埋もれた。別の住宅1棟も被害を受けたが住人は避難して無事。消防や災害派遣要請を受けた自衛隊などが捜索を続けている。

     大分地方気象台によると、現地では今月に入ってから降水量は少ないという。国土交通省は11日に専門家チームを現地派遣し、地上と上空から状況を確認した。同チームは調査後「岩盤の風化が進み、いつ崩れてもおかしくない状態だったとみられる」と説明した。

     現場は市中心部から南に約25キロの山あいにあり、金吉川に沿って住宅が点在している。崩落現場は急な斜面のふもとに住宅が集まっており、県が昨年3月に土砂災害防止法に基づき「土砂災害特別警戒区域」に指定したが、対策はまだだった。1991年の台風で倒木があり落石防止柵は設置されたものの、本格的な土砂災害に対応できるものではないという。県内の特別警戒区域は今年3月末現在、1万648カ所。県は「すべての区域で工事するのは難しい」としている。耶馬渓町金吉の梶ケ原地区の8世帯19人には避難勧告が続いている。

    「誠実な人」 死亡の岩下さん

     静まり返った山あいの集落が、突然ごう音と地響きに包まれた。11日未明に大分県中津市耶馬渓(やばけい)町で起きた大規模な山崩れはふもとの民家を次々とのみ込んだ。男性1人が救出されたが死亡が確認され、無事を祈る住民の心を引き裂いた。女性5人の安否はいまだ不明のまま。結婚を控えていた21歳の女性もいるとみられ、懸命な捜索が続いている。

     発生から約9時間後に救出された岩下義則さん(45)は、知人らの願い届かず帰らぬ人となった。「見つかったが、返事がない」。岩下さんが勤める若草工務店の社長、阿志谷清美さん(70)は「誠実で責任感がある人だったのに」と悲報に絶句した。

     土木の仕事をこなす一方、米やシイタケを栽培していた岩下さん。近くに住む松本聡雄さん(54)は「優しい人で気遣いのできる人だった」と目を伏せた。

     安否不明となっている江渕優さん(21)の友人らによると、江渕さんは5月に結婚を控えており、妊娠中だったという。友人らが無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで「優ちゃん生きてる?ねえ!!」と懸命にメッセージを送り続けるが「既読」にならず、友人や親族は「雨も降っていなかったのに、どうして。一刻も早く助けてほしい」と願う。

     母屋が土砂にのみ込まれるのを免れた飛瀬幸男さん(77)方では、家にいた妻幹子さん(70)と娘ひとみさん(45)、耶馬渓中3年の孫綾音さん(14)の3人が逃げて無事だった。「ばきばきという音がした。逃げる方向を間違えていたら死んでいた」と幹子さんは声を震わせた。【宗岡敬介、青木絵美、田畠広景】

    地下の岩盤、風化進み崩壊か 水の影響なし、上部の土砂もろとも

     山崩れの現場を調べた国土交通省の専門家チームは11日記者会見し、雨の影響がなかったとみられるのに崩れた原因について、風化して亀裂が入るなどしていた岩盤が崩壊し、表層の土砂の層もろとも崩れ落ちたとの見方を示した。

     上空と地上から調査したチームは「大雨で地下水が上昇し土砂の強度が低下することがあるが、何日か前に降った雨でこれだけの崩壊を引き起こすことは考えられない」と指摘。斜面の上部から地下にかけてある火山噴出物が固まった「溶結凝灰岩」などの基礎的な岩盤が「風化が進んで割れ目や亀裂が発達し、いつ崩れてもおかしくないくらいに強度が低下していたと考えられる」とした。

     現場では地下水も流れ出ているが「(地下水が原因の場合は)土砂がもっと長い距離に到達したり、ぬかるみになったりする。そういった状況ではなかった」としている。

     産業技術総合研究所の石塚吉浩・火山活動研究グループ長によると、一帯は溶結凝灰岩が斜面の上部に、下部に安山岩などの地層がある。

     溶結凝灰岩は縦に割れやすく、1987年には北海道・層雲峡で大崩落し、3人が死亡した。下部が崩れた後に支えを失った上部が落ちた。

     防災科学技術研究所の地すべり分布図によると、現場周辺では過去に多くの地すべりが起きたとみられる。井口隆客員研究員は「等高線の形状を見ると、今回の現場でも過去に地すべりがあった可能性が高い」と話す。【池田知広、大漉実知朗、尾形有菜】

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