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書店

土日だけ営業 旅・食・心の本並べ1年 三重・伊勢

「本と人をつなげる。本屋であることの面白さです」と店主の加藤優さん(右)=三重県伊勢市本町の「本屋 散策舎」で、尾崎稔裕撮影

 1週間で計10時間しか開店しない三重県伊勢市本町の書店「本屋 散策舎」が今月末で開店1周年を迎える。旅・食・心の三つのテーマで店主が選んだ書籍1000冊が約30平方メートルの店内に並ぶ。営業時間は土曜と日曜の正午から午後5時まで。宣伝はしておらず、来店者が10人以下という日もあるが、常連客が集うこだわりの空間だ。【尾崎稔裕】

     伊勢神宮外宮北の県道交差点の近くに店はある。1970年代の建設で昭和レトロな鉄筋コンクリート造り3階建てビルの2階。暗い階段を上り、「本」と書かれたドアを開けると、カフェ風の明るい店内に入る。

     店主は名古屋市出身で、学生時代を伊勢市で過ごした加藤優(ゆたか)さん(26)。東京都内の大手書店に勤務する。こだわりの書籍を並べる店として、勤務先の許可を得てオープンした。テナント料が高額な大都市を避け、縁のある伊勢市をその地に選んだ。店番は同市に住む母親に頼み、自身は商品管理のため、月に数回訪れる。

     ベストセラー中心に展開する大型書店とは品ぞろえも陳列方法も異なる。書架には、著者や出版社の枠はない。「旅」がテーマの一角は、19世紀の米国の思想家による自給自足生活の回想録、冒険家による辺境の紀行、アウトドア生活のノウハウ本、アマゾンの密林を舞台にしたラテンアメリカ文学が並ぶ。

     「本を読む。味わう。そんな感じで、店の本棚も読んでほしい。本の並べ方を通じて消費者である読者とコミュニケーションする本屋になりたい」

     売り場の工夫は、書店員にとっては編集作業だ。このような棚の書籍を独自の視点で並べる「ブック・コーディネーター」「ブック・ディレクター」などと呼ばれる仕事の需要は首都圏を中心に少しずつ増えている。地方都市で成立するかどうかは実験的でもある。

     加藤さんは「確かに紙の書籍の売り上げは厳しい状況ですが、ただ売れればいいとは思ってません。本棚で独自の情報を発信しながら出版文化を陰で支えていきたい」と話す。

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