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3年にわたり過激派組織「イスラム国」(IS)による占領が続いた、イラク第2の都市モスル。乾いた大地に並ぶ褐色の家々には、銃撃や空爆にさらされた破壊の爪痕が目立つ。この街がイラク軍により奪還された直後の昨年7月に取材した家族を、再び訪ねた。
アヌアールさん(43)はISからの奪還作戦のさなか、脱出の機を逸し、最後まで街に取り残されていた人々の一人だった。ISだけではなく、彼らに対抗する民兵たちをも恐れたからだ。
「飢えるか、殺されるかしか、私たちには選択肢がなかった」と当時を振り返る。外気が50度近くにもなる中、水も食料も底を突き、4歳だった息子が衰弱し亡くなった。キャンプでの避難生活後、今は爆撃で砕かれてしまった壁を修復し、辛うじて生活を送っている。「心配は電気や水の不足だけではありません。誰しもが今、恐怖を忘れられず生きているんです。隣人だと思った人々が突然、ISとして黒服を着て現れたのですから」
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