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今週の本棚

高樹のぶ子・評 『聖シメオンの木菟 シリア・レバノン紀行』=井上輝夫・著

 (ミッドナイト・プレス・3024円)

夢幻と憂愁の中で新たな言葉獲得

 読み終えたとき、生命と生存の核に杭(くい)を打ち込まれたような痛みとともに、作者が私に鋭く語りかけてきた。貴女(あなた)は器用にもソコソコ上手に小説を書いてきたけれど、読者の胸に、このような杭を打ち込むことができたのですか。

 本を置いて夜空を見上げる。数年前に他界した作者に向かって、半ば腹立ち紛れの抗弁のように言い返す……私が書くことに倦(う)み疲れ、枯渇したと感じたとき、私にもまだ力が残されているという希望を見出(みいだ)すために、悔しいけれどこの一冊を読み返します。

 このような幼い高揚を、いつもなら避ける分別があるけれど、この本に関してはそれができない。書評らしか…

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