メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

高樹のぶ子・評 『聖シメオンの木菟 シリア・レバノン紀行』=井上輝夫・著

 (ミッドナイト・プレス・3024円)

夢幻と憂愁の中で新たな言葉獲得

 読み終えたとき、生命と生存の核に杭(くい)を打ち込まれたような痛みとともに、作者が私に鋭く語りかけてきた。貴女(あなた)は器用にもソコソコ上手に小説を書いてきたけれど、読者の胸に、このような杭を打ち込むことができたのですか。

 本を置いて夜空を見上げる。数年前に他界した作者に向かって、半ば腹立ち紛れの抗弁のように言い返す……私が書くことに倦(う)み疲れ、枯渇したと感じたとき、私にもまだ力が残されているという希望を見出(みいだ)すために、悔しいけれどこの一冊を読み返します。

 このような幼い高揚を、いつもなら避ける分別があるけれど、この本に関してはそれができない。書評らしからぬ感慨からしか、始める事ができない質の本なのだ。

この記事は有料記事です。

残り1101文字(全文1448文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 判決に涙を流した周庭氏 禁錮10月の実刑で初の収監、保釈申請も却下 香港

  2. 菅政権への打撃必至 吉川元農相の現金授受疑惑 野党「私物化政治の極み」と批判

  3. 決勝はホンダvsNTT東日本 ともに3回目の優勝目指し、3日対戦 都市対抗

  4. セガサミー「助っ人ルーキー」大内が躍動、充実感も 「来年は自チームで」 都市対抗

  5. 偽の「市長意見書」を離婚訴訟で証拠提出 容疑の福知山市職員逮捕 京都府警

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです