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笑いのない人生なんて

パペット用いた落語を追求 笑福亭鶴笑 自身消し去り、文楽のように

笑福亭鶴笑と「あたやま山」の主人公・けちべえ=山田夢留撮影

 先月、NHK「日本の話芸」で、笑福亭鶴笑(かくしょう)演じる「あたま山」が放送された。落語家や講談師の熟練の話芸を、たっぷり一席流す演芸番組。30年近く「パペット落語」を磨いてきた鶴笑はここで、「話芸」の枠に挑戦する「サイレント落語」を披露した。

     頭に桜の木が生えてしまった男が、引っこ抜いた後にできた池に身を投げて死ぬ。古典落語「あたま山」は奇想天外な噺(はなし)。「壁があると越えたくなるんです」と笑う鶴笑は、ビジュアルでこの噺を表現しようと、さまざまな仕掛けを凝らした主人公「ケチ兵衛」の人形を作った。森山直太朗の「さくら(独唱)」をBGMに言葉なしで描かれる物語には、笑いと切なさが同居。オリジナルの結末には「大切な人は記憶の中に生きる」というメッセージを込めた。

     噺家になって間もない頃、劇場の若い客に落語を聴いてもらえず悩み、「パペット落語」を編み出した。「飛び道具使いやがって」「落語やない」。仲間に批判された時、支えになったのは師匠・六代目笑福亭松鶴(しょかく)の教え。「『落語家がやるもんは落語や』という言葉があったから、何言われようが怖くなかった」。ただ、心のどこかに「古典から逃げているのでは」という引っかかりがあった。転機は3年前。体調を崩し悩んでいた時、古典落語を聴いて救われ、「新しいネタを覚えたくなった」。パペットを使わない古典の会を始めた。

     古典落語と改めて向き合ったことで、新たな「弟子」も生まれた。昨年12月入門の笑福亭つる吉。小さな座布団の上で、正統派の語りを聴かせる噺家の人形だ。「技法は文楽に近い。理想は後ろの僕が消えることです」。パペットでの表現を追求する中でできた新型の落語。「面白いもんで、つる吉は松鶴に似てる。僕が憧れてるものを、つる吉がやってくれてるのかも」。師匠は入門から2年半で逝去。つる吉は、「いまだにその2年半が、人生で一番濃かった時間です」という鶴笑の、原点回帰でもあるようだ。「あたま山」の結末に込めたのも、師匠への思い。松鶴生誕100年の今年、その思いを形にしようと、約70人が集まる盛大な「百年祭」を9月に企画している。【山田夢留】

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