メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

はたらく

細切れ仕事 経験者が活躍

作成するウェブサイトのデザインを話し合う野田雅子さん(右)とオークスピードの諸井太郎社長=東京都千代田区の同社で

 <くらしナビ ライフスタイル>

     週3、4日の仕事を継続して業務委託や派遣で担う形態が、フリーランスや一部企業に受け入れられている。ボリュームは小さくても経験や比較的高度なスキルを必要とし、これまで正社員が担ってきた分野が少なくない。背景には、安定した収入と自由を求めるフリーランスと、働き方改革や人手不足に追われる企業の事情がある。

     ●直接対面して契約

     フリーランスでウェブサイトの作成などをしている野田雅子さん(31)は、3月から週3回、ウェブ広告制作・セミナー運営会社「オークスピード」(東京都千代田区)で働く。正社員を約7年経験した後、働く時間や場所を自分で決められるフリーランスの道を選んだが、その時々で仕事量に繁閑の差が出る。だから「ここでの仕事は働くリズムを作る軸になります」。諸井太郎社長は「新たに1人を正規採用しようとしたが人手不足もあり、相応のスキルを持つ人材が見つからなかった」と言う。そこで、オンライン上で個人事業者らに仕事の発注ができるサービスを提供する「ランサーズ」(東京都渋谷区)のシステムを使い、野田さんと契約した。

     一般的にオンライン上の仲介サービスは、対面交渉を除外し、報酬は仲介業者から手数料を差し引いて支払われる。新たに従業員を採用したり、請負に出したりするほどではない仕事を発注したい企業には便利だが、ランサーズによると、企業からは「メールのやり取りだけではデザインのイメージを伝えきれない」「機密保持が必要なので、会って見極めたい」という要望が増えていた。一方、働き手からは「単発ばかりでは収入が安定しない」「オンライン上だけでは孤独で、成長の機会も限られる」とする声も少なくなかった。

     ランサーズは昨年9月から週2、3日程度、発注元で継続して働く「スポット常駐」の仲介を始め、業種・職種を問わず好評だという。発注側が働き手と対面して契約。直接報酬を支払い、ランサーズにはサービス利用料(毎月約3万~4万円)を払う。「求人広告を複数出すよりも低額で無駄がない」と諸井さん。ランサーズの担当者は「短期アルバイトに近いが、企業、個人双方の要望は多い。今後は通訳や経理などにも広まり、会社員の副業にも利用されるのではないか」とみている。

     ●制約ある人も活躍

     東京都内の人材紹介企業で週4日、派遣スタッフとして働く伊藤香奈さん(37)。ヨガのインストラクターに教室運営のノウハウを教える仕事を個人でしている。派遣先では、以前の勤務先で携わった商品企画と輸入販売の経験を生かし、イベント企画やマーケティング、資料作成などを手がける。ヨガの仕事だけでは収入が安定しないことも派遣で働く理由だが、「派遣先で学べることも多く、将来はフリーランス一本と決めているわけでもない。育児との両立を図る場合も、二つの選択肢を持ち続けたい」。

     派遣元の「リクルートスタッフィング」(東京都中央区)は、経験やスキルを備える働き手がフルタイムではなく週3、4日などの短時間で就労するサービスを提案し、昨年5月以降の受け入れ企業が100社を超えた。一時的な即戦力を求める以外にも、「働き方改革で正社員の労働時間を減らしたい」という企業が多く、経理や労務などの分野もある。「難易度の高い仕事は週5日・フルタイムと考えられていたが、違った。育児・介護で時間的制約のある人材も生かせる」(同社)

     ●自立の難しさも

     独立行政法人・労働政策研究・研修機構(JILPT)が3月に公表した独立自営業者に関する調査では、仕事に対する満足度は高いものの、年間報酬総額が200万円未満の人は6割に上った。1カ月の平均作業日数は7日以下が全体の3分の1を占め、フリーランスだけで自立できる働き手ばかりでないことが浮き彫りになった。厚生労働省の「雇用類似の働き方に関する検討会」は同月末、実態把握や課題整理が必要だとする報告書をまとめ、今月から労働政策審議会で議論される。JILPTの山崎憲・主任調査員は「世界の企業ではグローバル化の進展で、将来戦略を担う人材は内部育成して中枢に残す一方、人事・総務、会計など収益に直接貢献しない部門や長期的に必要かどうか不透明な業務を外部化する動きが急速に進む」と指摘する。外部化された仕事では収入が下がったり働く時間が短くなったりと、働き手としての保護から外れ、社会保険や雇用保険の適用を受けないこともある。

     山崎さんによると、世界各国の政府はこの流れを積極的に規制も促進もしていない。ただ、フリーランスや、労働時間が短く社会保険に加入できない働き手が増えれば、社会保険財政に影響を与える。米、英、独、仏では最近、企業が社会保険料の負担から逃れられないよう規制を強めたり、働き手を元請けの雇用労働者と見なして保護したりする政策や判例が目立つ。

     住民の収入減は地域経済を直撃するため、対策に乗り出す自治体もある。米ロサンゼルスやニューヨークでは、フリーランスや下請けで雇われる労働者の賃金未払いなどの責任を元請けに負わせ、年収低下を防ごうとしている。【大和田香織】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. ORICON NEWS B’z松本孝弘の愛用ギター、SNS情報提供で無事発見 20年ぶり本人の元へ
    2. ことば 健康保険組合
    3. 仙台市 羽生選手パレードごみ12袋 ファンマナーに感謝
    4. 人材派遣健保 解散検討 最大の48万人協会移行
    5. 全国のコープ 生協健保組合が解散検討 16万人

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]