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読書日記

著者のことば 岡田暁生さん 「聴く体力」を養って

 ■クラシック音楽とは何か 岡田暁生(おかだ・あけお)さん 小学館・1296円

     書き手の意欲がにじみ出るストレートな書名を京都人らしく説明する。「関西弁にすると『クラシック音楽って何なん?』。この本は『何なのであろうか』では決してない。素朴な疑問を持つ人たちに答えたいという気持ちがあった」

     クラシック音楽は、魅力を味わえるようになるまでに、受け手側にも一定の知識や経験を求められることから取っつきにくいと思われがちだ。本書は、「名演とは何か」「オーケストラになぜ指揮者がいるのか」など、精通する人も簡潔明瞭な回答に窮する疑問を立て、分かりやすく解説する。ワーグナーやマーラーらドイツ語圏の音楽を「うんざりするほど長い」と表現するなど痛快な言い回しも、読者とクラシック音楽の距離を縮めてくれる。「門外漢のための本を書くことで、自分が当たり前だと思うことの背後にある枠組みや価値観を考え直すいい機会になった」と振り返る。

     対極的な音楽作品として「ドイツの交響曲」対「イタリアのオペラ」という図式が時折登場する。文章の書きぶりからは明らかに後者への肩入れが目立つが、その姿勢は単なる愛着だけによるものではない。「多くの人が本丸はドイツやオーストリアだと思い込んでいて、どうしてもクラシック音楽にはドイツ教養主義的なイデオロギーがつきまとう。『クラシック音楽とは立派なものだ』と。小難しいことを言うのがクラシックファンのステータスだと思っているところが、どうしてもまだある」と指摘する。

     クラシック音楽とは、世間では18世紀前半から20世紀初頭までの限られた時代に誕生した音楽作品を意味する。それらは21世紀に入った現代も繰り返し演奏されている。一方で、インターネットなどの技術革新によって手軽に曲を入手できる環境が整い、音楽の聴き方は大きく変化した。「ライブで2~3時間、聴くには体力がいる。あまりに気軽に音楽が聴けるようになってしまうと、本来音楽が求めているはずの体力が必要な作品に対応できなくなってしまうのではないか。その危機感は強い」。本書には、読者に「聴く体力」を養うよう願う著者の思いも込められている。<文と写真・須藤唯哉>

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