メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

#東北でよかった

旅する/19 おでん三吉 仙台市 楽天ファンが舌鼓 マー君のグラブも

 のれんをくぐり引き戸を開けると、ガラスケースに入った田中将大投手(現ヤンキース)が使ったグラブが目に飛び込んでくる。東北楽天イーグルスの岡島豪郎選手のサイン入りバットもある。

     仙台市青葉区の繁華街の一角にある「おでん三吉」。1949年開業のおでんやきりたんぽ鍋が名物の老舗は、熱心な楽天ファンが集う場所としても知られる。「『楽天』は生活の一部。暑くなっておでん屋が少し暇になるころ(プロ野球シーズンが)始まり、終わるころ寒くなり忙しくなる」。2代目店主の田村忠嗣さんはそう話す。

     2005年に誕生した楽天は本拠地を杜(もり)の都・仙台に構えた。田村さんは新しく誕生したチームをサポートしようと、周辺の商店主らと球団公認の「稲虎応援団」を結成した。「仙台はプロ野球の球団がなく、野球に飢えていた。球団ができれば、まちの活性化につながると思ったんだよね」

     6年後の11年、東日本大震災が東北のまちを襲う。楽天の選手たちは大きな被害が出た被災地を訪問し、野球教室などを開くなどして子どもたちを励まし続けた。チームの成績も少しずつ上昇し、チームカラーの「クリムゾンレッド」は市民の間に着実に根付いていった。

     田村さんにとって最も思い出深いのは13年の日本一だ。「楽天が優勝したのは意地だね。ファンは『おらほ(私たち)のチーム』という気持ちが強い」。そんな田村さんを慕って、店を訪れるファンや選手は後を絶たない。

     来店した人たちが楽しみにしているのが、自家製のおでんだ。にら玉、いいだこ、サンマのすりみ--。薄口のだしは青森・脇野沢産のイワシの焼き干しを使う。「頭とはらわたを手で取るんだよ」。具材によって、煮る時間も変える。染みにくいこんにゃくは2日間。ちくわやはんぺんは素材の味を生かすため10~20分。「材料の味を殺してはいけないから」と丁寧に仕上げていく。

     おでんの湯気と、やわらかなだしの匂いに包まれた店内で黙々と手を動かす田村さん。「頑張りすぎるんじゃないよ」。記者が取材を終えて帰る際、そっと声をかけてくれた。この場所が多くの人たちに愛されている理由が分かった気がした。【山内真弓】=随時掲載


     ■メモ

     仙台市青葉区一番町4の10の8。地下鉄勾当台公園駅から徒歩3分。電話は022・222・3830。営業時間は月~金曜が午後6時~午後11時。土曜が午後5時~午後11時。12月のみ月~金曜も午後5時から開店。日・祝休み。

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 大阪ミナミ アメ村 防犯カメラ全81台、苦渋の撤去へ
    2. 埼玉・宮沢湖畔 「ムーミン」テーマパーク、来年3月開業
    3. 新潟知事辞任 「中年男性がのぼせたということ」
    4. 米山知事 進退判断の経緯判明 支援政党離れ「辞めます」
    5. 暴行容疑 演説中の市議殴打、大学生逮捕 愛知・豊橋

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]