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余録

陽光ふりそそぐ四国路を思い浮かばせる「遍路」が…

 陽光ふりそそぐ四国路を思い浮かばせる「遍路(へんろ)」が春の季語になったのは大正末、高浜虚子(たかはまきょし)が用いて以後という。その虚子に「道のべに阿波の遍路の墓あはれ」がある。その昔は行きだおれも覚悟の巡礼だった▲時代変わって、夏井(なつい)いつきさんの「絶滅寸前季語辞典」を見ていたら、遍路の副題の「善根宿(ぜんこんやど)」が取り上げられていた。お遍路を自分の家に無料で泊めてあげれば、巡礼をしたのと同じ功徳が積めるといわれた善根宿、接待宿であった▲遍路が陽気のよい季節の遊興の色合いを濃くするにつれ、善根宿が絶滅季語の道をたどったのは成り行きだろう。で、今や見ず知らずの旅人を自分の持ち家に有料で泊まらせ、善根ならぬ収益を積もうという「民泊」の新時代である▲民泊新法の6月施行を前に、事業者の事前届け出の受け付けが行われている。訪日外国人増や空き家増を背景に、一定の条件の住宅なら届け出だけで1年間180日を限度に民泊に使えるようになる▲となれば各地のヤミ民泊で問題化した騒音やゴミの苦情など、近隣住民との摩擦を心配する方も多かろう。遊休資産を多数で活用するシェアリングエコノミーの効果への期待は大だが、リスクだけ近隣にシェア(分配)されても困る▲旅人をもてなす宿が、逆に拒否反応の温床になっては元も子もない。民泊の定着には欧州などの経験も踏まえ、生じた問題点に素早く対処してゆかねばならない。もちろんお遍路を分け隔てなく接待したご先祖に学ぶべきことも多かろう。

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