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日中経済対話

8年ぶり開催 自由貿易推進

会談する安倍晋三首相(右)と中国の王毅国務委員兼外相=首相官邸で2018年4月16日午後3時42分、川田雅浩撮影

 日中両政府は16日、閣僚級が経済協力などを協議する「日中ハイレベル経済対話」を東京・麻布台の外務省飯倉公館で開いた。2010年以来、8年ぶりの開催。今年が日中平和友好条約締結40周年に当たることも念頭に、日中間の経済協力を促進していくことを確認。米国と中国の通商摩擦の激化が懸念される中、自由貿易体制の強化が重要との認識で一致した。

     対話は河野太郎外相と中国の王毅国務委員兼外相が共同議長を務めた。中国が提唱する経済圏構想「一帯一路」や日本が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」を踏まえ、アジアにおける民間企業のインフラ投資で協力することを確認。中国でニーズが高い環境・省エネや医療・介護などの分野で、協力の可能性を探ることでも一致した。

     両国の製品が対象となっている米国の鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を意識して、自由貿易体制を守る必要性についても意見交換。王氏は「(日中)双方が共に保護貿易主義に反対し、多国間の貿易体制を守るべきだ」と強調した。河野氏は認識を共有する一方、中国側に鉄鋼の過剰生産問題への対応の徹底や、知的財産権侵害を防ぐ公正で自由な技術移転を行うように求めた。

     8年ぶりに開いた経済対話について河野氏は「(再開は)中国側の対日関係重視の表れで、高く評価したい。視点を新たにし、協力と連携を考えていく必要がある」と述べた。王氏も「新しい出発点に立って、両国協力の新しい未来を議論し、新しい発展を推進したい」と強調した。【加藤明子、袴田貴行】

    安保では緊張継続

     日本政府は日中平和友好条約締結40周年に当たる今年中に日中関係を飛躍的に改善することを目指している。ただ、沖縄県・尖閣諸島の領有権を巡る緊張が緩和される見通しはなく、自衛隊は海洋進出の動きを強める中国軍への対応に追われているのが実態。関係が改善されても、安全保障上の懸念が直ちに消えるわけではない。

     「戦略的互恵関係のもと、さまざまな分野で関係を発展させたい」。安倍晋三首相は16日、「日中ハイレベル経済対話」を終えた王毅国務委員兼外相を首相官邸に迎え、そう語りかけた。王氏も「中日関係を正常な軌道に戻す好機にしたい」と語り、双方が友好ムードの演出に努めた。

     安倍首相は5月9日に中国の李克強首相も招いて日中韓首脳会談を開催することを調整。その後、首相が訪中、習近平国家主席の来日を実現し、日中首脳の相互訪問を軌道に乗せたい考えだ。

     李氏来日の際には自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を避ける「海空連絡メカニズム」の運用開始で合意する方向。首相と王氏も東シナ海を「平和・協力・友好の海」とする原則論では一致した。

     ただ、日中関係に改善の機運が出てきた後も、中国公船による尖閣諸島周辺の領海への侵入は止まっていない。中国側が領有権に関する主張を取り下げることは想定しにくく、関係が改善されても、中国公船による領海侵入は続くのが確実とみられている。

     また、中国軍は太平洋への進出の傾向を強めており、2016年12月には空母「遼寧」が太平洋を航行。自衛隊は、日本海側だけではなく太平洋側でも中国艦艇への対応を強いられている。

     中国との関係が冷え込んだまま、中国の軍備拡張などが進めば、日本を取り巻く環境がどんどん悪化するのは必至。日本が中国との関係改善を急ぐ背景には、北朝鮮対応という喫緊の課題があるなか、中国との安全保障上の緊張はできるだけ緩めておきたいという狙いもある。

     尖閣周辺海域への領海侵入についても「中国公船の活動を止めることはできないが、関係が改善すれば少なくとも現状レベルに抑えておくことにはなるだろう」(政府関係者)という声がある。【田辺佑介、川辺和将】

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