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本郷 和人・評『大友二階崩れ』赤神諒・著

「義」に忠実な家臣の家督をめぐる攻防戦

◆『大友二階崩れ』赤神諒・著(日本経済新聞出版社/税別1600円)

 親が長男に財産を譲る。ところが何らかの理由があって、「やっぱりなかったことに」といって、その財産をたとえば末っ子に譲り直す。現代ではとても認められない行為だが、家父長権がたいへんに強大だった中世にあっては、この「悔い返し」行為はなんの文句もなく認められた。鎌倉幕府は「問題なし」という判断だったし、幕府の法律である「御成敗式目」の20条にも「OK」と明示されている。

 財産のもっとも大きなものは「家督」である。平安時代の後期などでは、男子はそれぞれに所領を分け与えら…

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