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SUNDAY LIBRARY

著者インタビュー 太田明日香 『愛と家事』

自分に合う家族のかたちは自分たちで見つけていくしかない

◆『愛と家事』太田明日香・著(創元社/税別1000円)

 母との関係や夫との離婚などの経験を綴(つづ)ったエッセー集『愛と家事』。2016年に自身のレーベル「夜学舎」から発行した同名のZINE(ジン)(リトルプレス=小冊子)が基になっている。

「前夫との離婚後、いまの夫と再婚しました。彼の仕事の関係でカナダのバンクーバーに住んだのですが、最初の頃はすることもなくて、家にいると過去のつらかったことを思い出すんです。まだ心の整理がついていなかったんですね。海外からも出品できるリトルプレスの展覧会に参加する機会があり、自分でもつくってみようと思ったのがきっかけでした」

 実家は、淡路島の山の中にある小さな集落。

「子どもの頃は山でどんぐりを拾ったり、川で泳いだりしていました。季節ごとに採れる食材は新鮮でおいしいです。でも、家が6軒しかなくて、周りに子どもはいませんでした。私は小学生のときは人となじめず、同級生からいじられたりしていましたが、『もっと人がたくさんいるところに住んでいたら、人付き合いがうまくなっていたのに』と思っていました」

 大学を出てから出版関係の会社を転々としつつ、「都会じゃないとやりたいことはできないと思っていた」と太田さんは言う。

「母は家族の犠牲になっていると、子どもの頃から思っていました。だから、親の期待やお金を無駄にしてはいけないという罪悪感があった。でも、母は私に向かって『好きにしたらいい』と言いながら、無意識のうちに、私がすべきことを決めつけているところがありました。そういう言語化できないモヤモヤとした感情が溜(た)まっていったんです」

 その頃、最初の夫との結婚が破綻を迎える。

「一回り以上年上でしたが、私に依存してくる人でした。私もそれに応えようとしたんですが、暴力を振るわれて1年半で別れました。当事者になってみると、それまで距離を置いていたフェミニズムという思想が力になってくれたと思います。同時に、『男のくせに』という、夫に対する私の性差別的な意識にも気づかされました」

 再婚してカナダに住んでからは、自分の中の主婦像に振り回されたという。

「家事をちゃんとしないと、という強迫観念に疲れてしまいました。でも、カナダに住んだことでマイノリティーの気持ちが初めて分かったし、家族についての考え方もずいぶん異なることを知って気が楽になりました。他人のことがあまり気にならなくなりましたね。結局、自分に合う家族のかたちを、自分たちで見つけていくしかないと気づいたんです」

 現在は関西に住み、フリーライターや日本語教師の仕事をしている太田さん。

「この本を書いたあと、気持ちがすっきりしました。これで先に行けると思いました。最初は、どこまで自分のことを書いていいのか分からなかったけど、書いてみてよかったです」

 女性が経験する悩みから逃げず、率直な気持ちを綴った彼女の文章は、共感を呼ぶだろう。吹っ切れたような笑顔が印象的だった。(構成・南陀楼綾繁)

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太田明日香(おおた・あすか)

 1982年、兵庫県生まれ。フリーランス編集者、ライター。バンクーバーに2年滞在したのち帰国。日本語学校の教壇にも立つ。共著に『福祉施設発! こんなにかわいい雑貨本』がある。雑誌『仕事文脈』で「35歳からのハローワーク」を連載中

<サンデー毎日 2018年4月29日増大号より>

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