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松尾羊一のめでぃあ亭

「若者たち」は生きている

 A 昭和を生きた現在70歳前後の団塊世代、その上の焼け跡世代は80歳代だが、彼らの青春を描いたのがドラマ「若者たち」(1966年)だ。

     B 両親を亡くした太郎(田中邦衛)、次郎(橋本功)、三郎(山本圭)に長女(佐藤オリエ)の兄弟たちがちゃぶ台を囲んでは激しく論争する。

     A というより取っ組み合いの兄弟ゲンカだろう。

     C 「テレビからお茶の間に唾が飛んでくる社会派青春ドラマ」と言われ、森川時久(フジ)の好演出もあって視聴率もうなぎ登りだった。

     A ドラマの原点は毎日新聞の記事「ある家庭」で紹介された家庭や、フジテレビ編成企画の白川文造の家庭がモデルだと聞いた。

     B ところが、ドラマはあらぬ方向に独り歩きを始める。

     A ある回で在日朝鮮人の差別問題をテーマにした。それが国際問題化するのを恐れたフジテレビは突然、放送を中止。演出の森川は、その後の「若者たち」を映画化した。

     C テレビ局を揺さぶった「国際問題」って何だ?

     A 北朝鮮の漁船「平新艇」には日本亡命を図る密航者と、彼らを監視する労働党員らが乗り込んでいて沖合で銃撃戦に。多くの死傷者を出し、下関にたどりついたが、引き渡しを要求する韓国と、北朝鮮に同調するソ連に日本は板挟みになった事件だ。

     B 今も引きずっている構図だ。右翼筋はテレビ局に押しかけ中止を迫った。

     A 一方、長男役の田中邦衛は出演者の代表格としてフジテレビの画面を借りて猛然と抗議した。

     C それが許されたテレビは、まだリベラルな姿勢を貫いていた時代だった。

     B たかがドラマの「若者たち」の波紋は各局の経営サイドと制作現場を揺さぶった。

     A テレビ史的には、放送文化の自由を巡る問題を提起したドラマだった。「若者たち」は停滞期の今だからこそ生きているのだ。違いますか?=次回は5月16日掲載

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