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華恵の本と私の物語

/21 永遠の出口

 中学生ちゅうがくせいになって1週間しゅうかん昼休ひるやすみは、しほちゃんとみきちゃんとつくえってお弁当べんとうひろげる。まえせきがしほちゃん、うしろがみきちゃん。2ふたりとも付属小学校ふぞくしょうがっこうからのがりの「内部生ないぶせい」で、「外部生がいぶせい」のわたしをさそってくれる。

     かいにすわるしほちゃんのからげがおいしそう。「おかあさんの手作てづくり?」とこうとしたら、せきカズキがふらりとあらわれた。内部生ないぶせいで、ひょうきんもので、クラスの人気者にんきもの。しほちゃんのうしろからそっとばし、お弁当べんとうのからげをパクッとくちにいれた。

     「カズキー!」

     しほちゃんがいてさけぶ。カズキはケラケラわらっている。わたしがわらいをこらえていると、

     「ひどい! ハナエちゃんからもって」

     とみきちゃん。わたしはあわててった。

     「カズキ、やめなよ!」

     すっと空気くうきかたまった。カズキの表情ひょうじょうから、いたずらっこ特有とくゆうわらいがえ、しほちゃんとみきちゃんも「え?」と、意外いがいそうなをこちらにけている。

     「カズキってぶな。キモ」

     そうってカズキは自分じぶんせきもどっていった。

     たしかに、わたしが「カズキ」とんだのははじめてだった。内部生ないぶせいのみんながそうんでいたから、いいかとおもったのだ。

     くちなかかわいていく。しほちゃんもみきちゃんも、なにごともなかったかのようにおひるはんはじめた。

     この教室きょうしつには、えてはいけないせんがある。えないからこそ、をつけねばならない境界線きょうかいせんだ。

     そうおもってからの学校生活がっこうせいかつは、ひどくながかんじた。永遠えいえんにこの緊張状態きんちょうじょうたいからせないのかな、とすらおもった。

      + + + + 

     『永遠えいえん出口でぐち』は、主人公しゅじんこう小学しょうがく年生ねんせいおんな高校こうこう卒業そつぎょうするまでをえがいた短編集たんぺんしゅうです。一章いっしょうごとに、それぞれの学年がくねんときこったことがえがかれています。小学生しょうがくせいころは、友達ともだち仲間なかまはずれにしてしまってなやんだり、こわ担任たんにん先生せんせいにクラスのみんなで抵抗ていこうしたり。中学生ちゅうがくせい高校生こうこうせいになると、こい家族かぞく問題もんだい、そしてあたらしく出会であ仲間なかまてきます。

     みながら、中学ちゅうがくはいったころ自分じぶんおもしました。カズキにわれたことはたしかに、衝撃しょうげきだったけど、1かげつもすれば、わたしはクラスにきなひとができたし、外部生がいぶせい友達ともだちもできて交換こうかんノートもはじめたし、高校生こうこうせいにもなれば、今度こんどはわたしが内部進学ないぶしんがくをして「内部生ないぶせい」となりました。

     なやみごとがあると、それが自分じぶん世界せかいすべてにおもってしまいがちです。でも、問題もんだいにはかなら出口でぐちがあって、つぎすすむようにできているのだとおもいます。

     大丈夫だいじょうぶだよ。

     そう、中学生ちゅうがくせいのときの自分じぶんってあげたいです。


    永遠えいえん出口でぐち

    森絵都もりえとちょ

    集英社文庫しゅうえいしゃぶんこ 604えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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