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みのひだフォーカス

農業分野で障害者の就労促進 「農福連携」普及へ本腰 県が窓口一本化 啓発、財政支援へ /岐阜

 県は今年度から農業の現場で障害者が働く「農福連携」を本格化させる。「縦割り行政」の弊害や、農家への周知不足もあり、これまで期待されたような障害者雇用は進んでいなかった。窓口を一本化し、農福連携の制度普及に向けた取り組みに本腰を入れるが、JAとの連携や、農業分野において就労を希望する障害者の有無の把握など課題も多い。【岡正勝】

     2日、県農畜産公社内のぎふアグリチャレンジ支援センターに「農福連携推進室」が開設された。平工孝義センター長は「農福連携をワンストップで進める形になった。障害者を受け入れる農家の支援、相談会や研修会も幅広くやっていきたい」と意義を強調した。

     従来は、福祉政策として障害者の就労支援などを行う県障がい者農業参入チャレンジセンターと、農業政策として一般就労支援などを行う、ぎふアグリチャレンジ支援センターが併存していた。月1回の連携会議を開いていたものの、いわゆる「縦割り行政」の弊害も指摘されていた。

     県が農福連携に着手したのは2015年度。福祉分野での「障がい者農業参入チャレンジ事業」が始まりだった。就労支援コーディネーター2人を配置し、障害者就労支援施設での農作業の仕事受注(施設外就労)開拓や、施設と農業者の仲介・調整を行ってきた。

     ただマッチング実績は15年度8件、16年度18件、17年度6件にとどまる。県の担当者は「人手不足でも農家側に障害者を雇用する発想がなかった」と、周知不足を原因に挙げる。

     一方、農政分野では、17年度に農業者が障害者を雇用する際、県が財政支援を行うモデル事業を創設。障害者と雇用契約を結んだ場合、障害者の賃金を2分の1以内で助成したり、職場改善に月額3万円を補助したりした。

     「貴重な戦力になっている」(シイタケ栽培の業者)など、受け入れ側の反応は上々だが、制度の利用は3社4人にとどまった。長期の継続雇用や社会保険制度の加入などが必要となる「雇用契約」が支援の条件だったため、制度利用は進まなかったとみられる。

      ◇   ◇ 

     新たに設置された農福連携推進室は5人態勢。農業者、福祉事業所向けの研修会や相談会を開いて啓発に努めるほか、障害者を受け入れる農家への賃金や施設改修費助成で、農業分野での障害者の就労促進を図る。また、優良事例を調査し「農福連携取り組みガイドブック」も作成する。

     もちろん、課題は多い。県は、農家や農業法人で働く障害者数などの統計を取っていない。農家の障害者を雇用する意思の有無や、障害者の農業就労意欲など需要と供給のニーズも「把握しきれていない」(担当者)という。このため、現地調査やアンケートを実施し、少しでも実像に迫りたい考えだ。

     さらに農家と関係が深いJAと障害者雇用に関する連携もこれからの課題だ。窓口一本化が、農福連携にどれくらいの効果を生むのか今後が注目される。


     ■農福連携

     福祉施設を利用する障害者らに農業に携わってもらい、パートなどが集まらない人手不足の解消や障害者の就労機会拡大、工賃向上につなげる取り組み。雇用契約を結んで給与を支払う場合や、雇用契約を結ばず工賃(賃金)を支払う形態があるほか、福祉施設が自ら農園を経営する方法もある。県では2016年4月に「県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例」が施行されており、一層の取り組み強化が求められている。

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