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社説

北朝鮮の「実験中止」宣言 意図を慎重に見極めたい

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 北朝鮮が、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止を宣言した。南北、米朝首脳会談を前に、積極的な対話姿勢を示す狙いがあるのだろう。

     朝鮮中央通信の報道によると、朝鮮労働党中央委員会総会で採択した決定書で、透明性を担保するため核実験場の廃棄も盛り込んだ。

     昨年は核・ミサイル実験を繰り返した。こうした路線を転換し、非核化に向けた対話開始の意思表示をしたなら、まずは前進と言えよう。

     ただし、これが非核化につながる裏付けはない。日米両国が目指す「完全かつ検証可能で不可逆的」な核廃棄に向けた一歩とは言い難い。

     金正恩(キムジョンウン)党委員長は総会で「中長距離ミサイルの発射は必要なくなった」と表明したという。一方、決定書で実験中止と表記されたのは、核とICBMだけだ。

     北朝鮮は、核・ミサイル開発が完結したため、もはや実験は必要ないとの認識を示した。だとすれば核兵器を手放す意思があるのか、疑問である。新たに掲げた「戦略的路線」が何を意味するかも不明だ。

     むしろ報道には「世界的な核強国」などの表現がある。核保有国として、米国と対等な立場で軍縮交渉に臨む考えを示唆したとも言える。

     金委員長は核開発と経済建設の「並進路線」の勝利を宣言し、経済発展に注力する姿勢を強調した。新方針について、国内向けの説明を始めたとの見方もある。

     過去に核放棄に応じなかったとの理由だけで、中止宣言を軽視すべきではなかろう。ただ、現段階での過大評価は禁物だ。北朝鮮の意図を冷静かつ慎重に見極める必要がある。

     日本にとってはもどかしい局面だろう。先の日米首脳会談では非核化に向けた制裁継続で合意した。だがトランプ米大統領は北朝鮮の発表を「良いニュース」と評価した。

     さらに韓国政府は「大変前向きな環境を生み出す」と全面的に歓迎する声明を発表した。

     こうした中、安倍晋三首相も「前向きな動き」と歓迎した。関係国と歩調を合わせざるを得なかった事情がにじむ。

     日本としては国際社会との足並みをそろえつつ、北朝鮮を非核化に導かなければならない。

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