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不知火のほとりで

石牟礼道子の世界/67 夢劫

わが身はあてどなき仙女となり果てし=熊本県水俣市で、田鍋公也撮影

 <日曜カルチャー>

涙のしずくに咲く

 春なのに初夏を思わせる日差しである。JR熊本駅。足がつい市電に向かう。行く当てがないのに気づき、私は立ちすくんでしまう。石牟礼道子さんがもういないという事態に慣れることができない。この先、慣れることはあるのだろうか。

 亡くなって50日が過ぎた。東へ向かう。渡辺京二さんの家に来た。これからどうしたらいいか、おうかがいに来ました、と私は言った。「どうしたらいいか、私が聞きたいよ」と渡辺さんは笑みを浮かべる。声に力がない。「自分が必要とされるというのは、単純明快な、生きがいです。そうすると、自分を必要としてくれる人がいなくなったということは、なんのために自分が生きているのか、ということになる」と独特の言い回しで喪失感を語る。

 道子さんの通夜、葬儀があった熊本市東区の真宗寺に行く。葬儀の日2月12日は朝から雪が舞った。お気に…

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