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岡崎 武志・評『画家たちの昭和』『風にのる日々』ほか

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今週の新刊

◆『画家たちの昭和 私の画壇交流記』中野淳・著(中央公論新社/税別3000円)

 ゴッホの「ひまわり」が50億円以上で落札されたが、ゴッホは生前絵が1枚しか売れずに貧乏した。皮肉な話だが、中野淳『画家たちの昭和』に現れる若い絵描きのエピソードもまた、貧乏話が多い。

 2017年に91歳で逝去した洋画家の中野淳の周辺には、若き日、松本竣介、麻生三郎、鶴岡政男、小山田二郎、山口薫など、現在では著名な絵描きの卵たちがいた。戦時下に絵を描くなど非国民と言われたが、新しい表現を求めてキャンバスに向かい格闘する。

 売れないことが前提の絵が、絵画ブームで売れ始めるのは昭和40年前後から。それを知らずに若くして亡くなる松本竣介。ブームで多忙になり命を縮めた香月泰男。みな「単なる画家ではなく、現代の証人としての目を備えている人たちである」と著者は言う。

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