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余録

「石臼も底の抜ける日あり」とは…

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 「石臼(いしうす)も底の抜ける日あり」とは朝鮮半島のことわざだが、異なる意味で用いられることがあるという。一つは永久不変のものはないたとえとして、もう一つはどんな名人であれ失敗はあるという意味である▲「世界ことわざ大事典」の藤本幸夫(ふじもと・ゆきお)さんの解説によると朝鮮半島のことわざには地方などにより用法の違うものが多いという。「咳(せき)に嚔(くしゃみ)」はタイミングがうまく合うことをいう場合もあれば、いいところで邪魔が入るたとえにもなる▲さて石臼の底も抜けるならば、北朝鮮と韓国の首脳がお互いに南北軍事境界線を越え合うパフォーマンスを見せても驚くにあたるまい。金正恩(キムジョンウン)委員長と文在寅(ムンジェイン)大統領による10年半ぶりの南北首脳会談が板門(パンムン)店(ジョム)の韓国側施設で行われた▲いわば6月初旬までに開催予定の米朝首脳会談への橋渡しとなるこの会談である。両首脳の呼吸は「咳に嚔」、南北融和ムードのかつてない盛り上げでは息の合ったところをみせたが、注目の北の非核化で新たな踏み込みはなかった▲「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現する」。両首脳の共同宣言はそううたったが、いくつもの相反する意味、用法が出てきそうな文言である。「完全な非核化」の実質的意味の確定は米朝会談に引き継がれた形である▲「桐(きり)の木を見て踊り出す」は桐の琴で踊る風習から、気が早いのをからかうことわざという。何度も裏切られた北の「非核化」の言葉で踊り出すわけにいかないが、今度こそ琴に仕上がるのかを見届けたい。

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