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社説

愛媛、広島での受刑者逃走 開放的施設の運用点検を

 反省すべき点は多かろう。ただし、受刑者の逃走防止策と、「開放的施設」のあり方は区別して考えなければならない。

     愛媛県今治市にある松山刑務所の大井造船作業場で服役中の27歳の男が逃げ出し、22日間逃走した末にようやく広島市内で逮捕された。

     男が潜伏していたとみられる広島県尾道市の向島では約1万5000人もの警官を動員して捜索したが、見つけられなかった。住民は長期にわたり不安な日々を強いられ、観光なども打撃を受けた。

     大井造船作業場は1961年に開所した、いわゆる「塀のない刑務所」として知られる。

     ここにいる受刑者は模範囚に限られる。民間造船所の敷地内の寮で共同生活し、昼間は一般作業員と一緒に溶接などの労働に取り組む。

     実社会に近い集団生活の中で協調性や自立心を養い、スムーズな社会復帰を促すという狙いがある。こうした開放的施設は全国に四つある。

     大井作業場では、平成に入ってからの約30年で今回も含め6件7人の逃走事件が起きた。監視のどこに盲点があったか、再発防止の徹底が必要なことは言うまでもない。

     だからといって「塀のない刑務所」の取り組みそのものを否定的に捉えるのは行きすぎだろう。

     法務省によると大井作業場を出所し再び刑務所に入った受刑者の割合は過去10年間で6・4%にとどまる。模範囚が多いとはいえ全国平均の約4割よりかなり低く、上川陽子法相も「再犯防止に大きな意義がある」と評価してきた。

     逃走した男は動機について「刑務所での人間関係が嫌になった」と供述しているという。刑務官に2度ほど規則違反を叱責されて悩んでいたとの情報もある。

     大井作業場以外の開放的3施設では、平成に入って逃走事件が起きていない。運営方法に問題がなかったか、背景の調査にこそ重点を置くべきではないか。

     法務省が再発防止に向けて設置した委員会では、本人が外せない全地球測位システム(GPS)端末を受刑者に付ける案も出たという。だが、自尊心を過剰に傷つけるような方法は更生の観点からも逆効果だ。施設の目的とは相いれない。

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