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それは戦時下だった/2 忠誠心を「教育」 箱根報国寮

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在りし日の箱根報国寮。現在は石垣の一部が残るのみ=箱根報国寮の絵はがきより
在りし日の箱根報国寮。現在は石垣の一部が残るのみ=箱根報国寮の絵はがきより

 <くらしナビ・環境>

 戦時中の箱根山に、神奈川県の「箱根報国寮」という青年訓練施設があった。国土保全や殖産興業のため豊かな森林が欠かせないことを若者に教え、荒廃した山の治山治水、造林を第一の主眼とした。だが実態は、重労働と集団生活を通して国への忠誠心を植え付け、体を鍛えることが目的だった。戦争遂行のための施設だった。

 作業風景の絵はがきが県立図書館などに残っている。雨が降る谷で、カサとミノ姿の生徒が大勢で岩を担ぎ出す様子、旗ざおの日の丸の下で斜面の草を刈る様子、土砂で埋まった砂防ダムで地面を掘る様子などが写っている。「集団訓練の下に日本精神を体得せしむると共に心身を鍛錬し、献身奉公質実剛健の中堅国民を養成する」。箱根報国寮の案内書はうたっている。

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