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ドイツのテノール、ヨナス・カウフマンが、人気実力ともに当代を代表するテノールであることに異を唱える人は少ないだろう。リリック・テノールから出発したが、声楽コーチを代えてドラマチックなレパートリーへと転向し、才能が開花。フランス・オペラからヴェルディやヴェリズモといったイタリア・オペラ、そしてワーグナーを中心としたドイツ・オペラで圧倒的な成功を収めている。ドイツ人のテノールでワーグナーを得意にする歌手は、ワーグナー作品をメインに歌ういわゆる「ヘルデン・テノール」として活躍するケースが少なくないが、カウフマンはさまざまなレパートリーを歌うことを今後も続けていくと公言している。実際カウフマンの声が映し出す繊細な表情や豊かな色合いは、幅広いレパートリーを歌い続けている成果でもあるだろう。
とはいえ、最近のカウフマンのワーグナー・オペラにおける活躍はめざましく、「パルジファル」や「ローエングリン」のタイトルロールや、「ヴァルキューレ」のジークムント役で絶賛されている。
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