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日本国憲法71年

学習院大大学院教授・青井未帆氏、専修大教授・棟居快行氏の話

青井未帆氏

「自衛」の拡大招く恐れ 学習院大大学院教授・青井未帆氏

 自民党の憲法9条改正案にある「必要な自衛の措置」の表現は、集団的自衛権も含めて憲法上の正当性を与えることになり、今後さらに「自衛」の範囲の解釈が広がる取っ掛かりになる。これまでの政府解釈で使ってきた「必要最小限度」ではなく、新たな表現を使うことは、「2014年の解釈変更で認めた限定的な集団的自衛権(の範囲)をさらに超えるため」と指摘されるのは火を見るより明らかだ。憲法学的な見地からの検討が十分されたとは言えず、中途半端だ。

     首相が「解釈は変わらない」と主張することは改憲を実現する目的にはかなうかもしれないが、自衛隊を憲法上の機関とすれば、これまで行政機関の一つとしてきた説明とつじつまが合うのか。単に書き込むだけ、という主張はあり得ない。憲法に明記されれば、他の機関とは違う「特殊性」の議論は当然起きる。それを示さなければ国民に目隠ししたまま「お任せください」と言うことに等しく、現在の政治状況では許されない。

     現行憲法の戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認という選択は、権力抑制の役割を果たしてきた。政府や国会、国民が作った「9条のプロジェクト」とでもいうべきものが存在すると思う。国民的な議論がない中での「議論」は、国論を二分する可能性が高い。自民党や首相に国民的議論をするつもりがあるだろうか。このまま国会で発議されれば、将来に禍根を残すし、それはしてはいけない。

    棟居快行氏

    「解釈変わらぬ」無責任 専修大教授・棟居快行(むねすえ・としゆき)氏

     軍隊や自衛隊を憲法上どう位置づけるかは当然、議論としてあって良い。ただし現在、自衛隊に対する文民統制が本当に利いているだろうか。

     先日、幹部自衛官が国会議員を罵倒する出来事があった。議員の後ろには支持する国民がおり、自衛隊員が国民も「敵と味方」に分けているとすれば、自衛隊として一番許されない発想だ。もし国民投票があれば、国民は増長した自衛隊の意識を考慮するだろう。

     もちろん、国家固有の自衛権に触れた「砂川事件」判決のようにシンプルに自衛権を書くこともある意味、憲法改正にふさわしい。一方、単に「自衛隊を明記する」というのは無責任だ。自衛隊明記案が否決された場合、理屈として「自衛隊は否定された」とも言える。それに憲法解釈は国会よりも司法が優越し、時代とともに変わる。安倍首相が「論争に終止符を打つ」と言ってもそれは無理だ。

     私は国民投票をやっても良いと思うが、首相と自民党は、安保法制で行った集団的自衛権行使の一部容認を認めるか否かを「かけ金」にすべきだ。政治生命も何もかけず、否決されても何も失わない、「憲法解釈は今まで通りだから、判子をついてください」と言うのはおかしい。

     本来、衆参各院の3分の2以上の賛成を改憲の発議要件とするのは「熟議を尽くす」という意味だ。条文解釈や安全保障との関係について、シミュレーションを尽くしてほしい。国論を二分するのは論外だ。

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