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社説

中印首脳の接近 信頼醸成は安定に資する

 中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席とインドのモディ首相が4月下旬、中国湖北省の武漢で2日間の非公式首脳会談を行い、平和的に国境問題の解決を探っていくことなどで合意した。

     両国を合わせた総人口は26億人に達する。関係が悪化しては地域全体が不安定化する。信頼醸成につながる首脳の対話を歓迎したい。

     会談は急きょ、実現した。中国は対米貿易紛争や朝鮮半島情勢の急変をにらみ、国境を接した地域大国との関係強化を図ろうとしたようだ。

     モディ氏には権威を確立した習氏の対外戦略を探る狙いもあっただろう。来春の総選挙を前に中国との関係安定を望んでいるともいわれる。

     両首脳は景勝地を通訳だけを伴って散歩するなど計6回も会談した。懸案が解決したわけではないが、お互いの率直な考え方を知るだけでも不信感を減らすことにつながる。

     昨年は係争地域のドクラム高原で両国軍の国境部隊が2カ月以上にらみ合い、一触即発の緊張が高まった。今回の会談では軍同士の信頼醸成や協力を進めることで一致した。関係改善への一歩といえる。

     発表文にはトランプ米政権を念頭に保護主義への反対と多国間貿易体制の支持も盛り込まれた。

     中国がインドの協力を期待する広域経済圏構想「一帯一路」への言及はなかった。中国のインド洋進出やパキスタンとの協力に対する警戒心は解けていないのだろう。

     それでもアジアの2大国が「世界情勢は深刻な変化のただ中にある」という認識を共有し、「隣人、友人、パートナー」という位置づけを確認した意義は小さくない。

     日米両国は中国の「一帯一路」を念頭に「自由で開かれたインド太平洋戦略」を打ち出しているが、中国と対抗するのではインドは簡単には動くまい。むしろ、「一帯一路」との相互補完で、地域全体の安定、繁栄にかなうような戦略につなげていくべきだろう。

     朝鮮半島をめぐっても首脳外交が続く。直接対話で信頼感を高め、交渉の積み上げだけでは解決が難しい相違点の克服を目指せることが首脳対話の利点だ。国際情勢の動きは急だ。対立を乗り越えようと、首脳同士が歩み寄った中印の対応は日本にも参考になるのではないか。

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