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内田麻理香・評 『明治の技術官僚 近代日本をつくった長州五傑』=柏原宏紀・著

 (中公新書・950円)

 明治維新の少し前、五人の長州藩士が英国に向けて密航した。その一人が、日本初の内閣総理大臣となった伊藤博文、もう一人は鹿鳴館外交で有名な井上馨である。この二人は知名度が高いのに対し、他の三人は彼らが成した業績に比して、あまり世に知られていない。山尾庸三は工部省の設立に携わり、工部大学校(現在の東京大学工学部)を作った。井上勝は日本の鉄道の発展に寄与した「鉄道の父」だ。そして、造幣部門で尽力したのが遠藤謹助である。明治の黎明(れいめい)期に、重要な役割を果たした三人であるにもかかわらず、さほど有名ではない。本書は日本の近代化を支えた「長州五傑」に焦点を当て、日本の技術官僚たちの活躍を描いている。

 鎖国中の日本は、海外渡航が厳しく禁止されていたが、長州藩は西洋に藩士を派遣して、「生(いき)た器械」として藩の役に立たせようと考えた。長州五傑は英国に渡り、ロンドン大学で学ぶことになった。しかし、伊藤と井上馨はわずか七カ月で帰国することになる。現地の新聞で、薩英戦争などの記事を読み、長州藩が諸外国と無謀な戦争をしかねないと判断したようだ。二人の行動は、藩の状況を鑑(かんが)みて、自ら藩の命令を破…

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