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論の周辺

「リズム」という視点の新鮮さ

 劇作家・評論家の山崎正和さんが、評論『リズムの哲学ノート』(中央公論新社)を刊行した。「私の半世紀にわたる著作履歴のなかで、画期的な一冊」と、あとがきに記しているように、著者が長年温めてきた「大切な主題」に正面から挑んだ力作である。

 古代ギリシャのパルメニデスからベルクソン、ポランニー、メルロ=ポンティといった近現代の哲学者、さらには心理学や人類学、脳科学をはじめとする自然科学の知見をも総動員した思索の深さは、もとより記者に理解できる範囲を超えている。既に出ている識者の書評に付け加えられることもない。しかし、この本で取り組まれた「リズム」を根底に据えて考えることの豊かさ、それを論じる思考自体が刻むリズミカルな文体は、読者を魅了してやまない。

 山崎さんはまず「人間にとって、リズムというものほど広く感じとられる現象は少ない」、「リズムの感受性は人類の地域も歴史も超えて、いわゆる文明化の程度と関係なく共有されている」と、この主題の普遍性を示し、論を起こしている。そして世阿弥の説いた「序破急」から始まって、リズムの本質を探っていくのだが、その際、例として挙げられるのが日本庭園によく見られる「鹿(しし)おどし」だ。

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