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平松 洋子・評『朝鮮大学校物語』ヤン・ヨンヒ/著

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80年代、青春の日々。在日コリアンの葛藤を描く

◆『朝鮮大学校物語』ヤン・ヨンヒ/著(角川書店/税別1500円)

 日本に生まれ育ったコリアン二世として、自身の存在を投入して作品を生み出してきた映画監督、ヤン ヨンヒ。ドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」(2005年)、「愛しきソナ」(2009年)では、日本と北朝鮮に分断された自身の家族の姿を描いた。劇映画「かぞくのくに」(2012年)で描いたのは、少年時代に渡った北朝鮮から一時渡航を赦(ゆる)された兄と家族との数日間。親子の絆、家族の相克、個人と国家。歴史の流れのなかで理不尽に翻弄(ほんろう)される人間の姿から目が離せないのは、観る者の深部に在日コリアンの真情が突き刺さるから。ヤン ヨンヒは、みずから語られなければ知ることのできなかった事実、理解したくても掴みきれなかったデリケートな感情を手渡し続けてきた。

 このたび小説第一作として書かれた『朝鮮大学校物語』の舞台は、1980年代の東京、朝鮮大学校。主人公の18歳のミヨンが新しい世界でもがく姿を描く青春物語だ。そのようすには、当時おなじ朝鮮大学校に通った著者の姿もおおいに投影されているだろう。

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