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社説

暴言自衛官を訓戒処分 背景の解明は十分なのか

 国会議員に路上でいきなり暴言を浴びせた自衛官に対し、防衛省は訓戒処分にしたと発表した。

     面識のない他人に因縁をつけるのは一般社会でも非常識な行為だ。ましてや当事者は統合幕僚監部の3等空佐と国民の代表である。なぜこのようなことが起きたのか、背景をきちんと解明しなければならない。

     防衛省によると、3佐は「国のために働け」「気持ち悪い」などと発言したことを認めている。小西洋之参院議員(無所属)は「国家の敵」と言われたと主張し、3佐は否定しているが、現職の幹部自衛官が野党議員を罵倒したことに変わりない。

     小西氏は安倍晋三首相の進める憲法9条改正に反対し、集団的自衛権の限定行使を可能とした安全保障関連法を違憲と批判してきた。それを非難する政治的意図が3佐にあったであろうことは否定できない。

     自衛隊法61条には「政治的行為の制限」規定があるが、防衛省は「私的な場における偶発的な発言」とみなし、「品位を保つ義務」を定めた同法58条違反を処分の理由とした。自衛官が個人として政治的な主張をしてはならないわけではないが、組織的な背景は本当にないのか。

     思い起こされるのが10年前、過去の植民地支配と侵略を正当化する論文を発表して更迭された田母神俊雄元航空幕僚長だ。政府の公式見解を真っ向から否定する人物が航空自衛隊のトップに上り詰め、更迭後、国会に呼ばれて「我々にも言論の自由は許されている」と開き直った。

     3佐が空自内で元空幕長の影響を受けていた形跡は確認されていないというが、やはり気になる。

     小野寺五典防衛相が「彼も国民の一人なので、当然思うことはある」と擁護する発言をしたのも問題だ。懲戒よりも軽い処分にとどまったことも異論を呼ぶだろう。

     安倍首相は若い自衛官たちのためだとして9条改憲を訴えている。そのことで、政権を批判する勢力への過剰な敵対意識が防衛省・自衛隊の中に生まれていないだろうか。

     ネット上には安倍政権を批判する人を「反日」「売国奴」などと罵倒する投稿も目立つ。国民全体に奉仕すべき自衛官がその風潮に感化されていたのだとすれば由々しき事態だ。組織の再点検を求めたい。

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