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英民間組織

HPVワクチン「深刻な副反応の証拠なし」

コクランのウェブサイト

26件の試験評価

 医学論文を総合的に評価する民間非営利組織コクラン(本部・英国)は9日、子宮頸(けい)がんなどを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの有効性と安全性に関する評価結果を公表した。過去8年間に発表された日本や他国の26件の比較試験を評価した結果、同ワクチンによる子宮頸がんの前段階の予防効果に高い確実性が確認された一方、副反応は非接種群と同程度で「同ワクチンが深刻な副反応を起こすとの証拠は見られなかった」としている。

 対象としたのは主に、日本でも承認されている「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類の同ワクチンの試験で、女性を2グループに分け、ワクチンと偽薬をそれぞれ接種し、有効性や安全性を比較したもの。参加者計7万3428人のうち、多くは26歳以下の女性で、観察期間は3年半~8年。25件の試験がワクチン会社から資金提供されていたが、公的資金による残り1件の試験結果と異なっておらず、評価者らは偏りのリスクは少ないと判断した。

 子宮頸がんはHPVの感染者の5~10%が長い時間をかけて、がんの前段階となる異常を経て発症するとされる。評価の結果、がんの前段階の異常は接種群で有意に減少しており、ワクチンの予防効果には高い確実性があると結論づけた。一方、深刻な副反応については非接種群、接種群ともに約7%とほぼ同じだった。

 評価者らは「このデータにより、ワクチンが将来的に子宮頸がんを減らすと考えられる。しかし全ての子宮頸がんを防ぐとは言えず、依然定期的な検診が重要だ」と指摘した。

解説 安全性など検証継続も

 コクランは1992年に英国で設立された国際的非営利組織だ。特定のテーマを検証した先行研究を、中立的な第三者の目で統合し、評価することで「科学的根拠に基づく医療」の普及を目指している。その精神を尊重するため、利益相反に厳しい目を向け、営利企業などとは距離を保って運営されてきた。そのコクランがHPVワクチンを検証し、有効性と安全性に一定の評価を与えた意義は大きい。

 HPVワクチンは、2013年に定期接種化されたが、接種後に健康被害の訴えが相次ぎ、同年6月に積極的勧奨が中止された。また国と製薬会社を相手に4地裁で提訴されている。健康被害を訴える人たちは国と製薬会社が示す有効性と安全性のデータに疑問の目を向ける。利害の当事者であり信頼性に欠けるというのが理由だった。

 一方で今回の結果には限界もある。対象とした試験は大半が製薬会社の資金によるものだった点への、説得力に欠けるという批判は必至だ。コクランジャパンの森臨太郎代表は「個人の価値観を尊重しながら、接種を進めるに値する科学的根拠」と評価しながらも、「今後、安全性やがんの長期予防効果を検証する継続調査も必要」と指摘している。【高野聡】

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