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伊豆・妙蔵寺

「平和を祈り」パゴダで戦没者らの慰霊祭

1970年に建立されたパゴダ=伊豆市八木沢の妙蔵寺で、2018年5月10日午前9時9分、石川宏撮影

 静岡県伊豆市八木沢の妙蔵寺(佐治静正=じょうしょう=住職)境内のパゴダ(ビルマ仏塔)で10日、太平洋戦争の戦没者らの慰霊祭が営まれ、祖父などを亡くした地域の遺族らが参列し、読経や焼香で慰霊した。妙蔵寺先々代住職の故佐治尭英(ぎょうえい)さんは通信兵としてインパール作戦に従軍。復員後にパゴダを建立し、毎年慰霊祭が営まれている。

     尭英さんは1944年にビルマ(現ミャンマー)からインド北東部攻略を目指したインパール作戦に従軍した。作戦では数万人の日本兵が飢餓や病気で死亡したが九死に一生を得た。46年8月に復員後は妙蔵寺住職と土肥中教師を務める傍ら、世界平和を祈るパゴダ建立のため約5年間托鉢(たくはつ)。70年にビルマ大使らも参列しパゴダを落成した。一時は境内に合宿所を作りビルマ人留学生を受け入れるなどしていたが、95年に76歳で死去した。

     尭英さんの次男で先代住職の佐治寿英さん(66)は「敗走中は昼は戦死者の中にじっと隠れ英兵の目を逃れ、夜だけ歩いたと聞いた。花火の音が最後まで嫌いだった」と話す。

    慰霊祭で戦没者供養のため読経する列席者=伊豆市八木沢の妙蔵寺で、2018年5月10日午前9時11分、石川宏撮影

     尭英さんの残したパゴダには、遺骨収集時に現地の人からもらった日本兵墓地にあった仏像が鎮座し、尭英さんが通信兵として使ったラジオペンチ、認識票など陳列されている。86年に再建された境内の鐘楼の鐘は、旧厚生省から委託された遺骨の金歯も入れて鋳造された。

     慰霊祭はかつて、尭英さんが所属した独立有線第94中隊の戦友らが集まったが、現在は地域の遺族らが集まる場に。祖父が戦死したという長浜薫さん(76)は「当時もおかしいと思った戦争をしてしまったことに、世の中の浅はかさを感じる」。義父が戦病死した関千代子さん(72)は「平和になれるようにと考えながら参列した」と話した。

     佐治住職(38)は「戦後70年を過ぎ人々の中から戦争は忘れられようとしているが、忘れてしまえば同じことを繰り返すのが人間。平和への祈りを支え、祖父が残したパゴダを守り、風化させないのが自分の役割だと思う」と話した。

    【石川宏】

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