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参考人招致

柳瀬氏、「ない記憶」淡々と 野党「詭弁だ」

参院予算委員会で学校法人「加計学園」による獣医学部新設を巡る問題について答弁中、陳謝して頭を下げる柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)=国会内で2018年5月10日午後1時38分、川田雅浩撮影

中盤以降、時折笑みを浮かべる場面も

 学校法人「加計学園」による獣医学部新設を巡る10日の衆参両院の予算委員会。安倍晋三首相が「信頼する」としてきた元秘書官の柳瀬唯夫氏は学園関係者との複数回の面会を認めつつ、首相の関与はかたくなに否定した。これまでなかったはずの「記憶」を基に淡々と答える姿に、野党議員は「詭弁(きべん)だ」と反発した。識者や関係者の見方も厳しい。

 「加計学園の方と面会いたしました」。柳瀬氏は審議の冒頭、最初に質問に立った自民党の後藤茂之衆院議員に対し、2015年4月2日の面会の事実を書類に目を落としながら、よどみなく答えた。愛媛県職員の作成文書で柳瀬氏から「首相案件」との発言があったという記述があることについては「趣旨が違う形で伝わった」と釈明した。

 柳瀬氏は昨年7月以降、国会などで「愛媛県、今治市との面会は記憶がない」と主張してきた。与野党議員から「なぜ今まで(加計学園関係者との面会を)話さなかったのか」と追及されると、同県や同市との面会の有無を質問されたためとかわした上で「一つ一つの質問に答えた結果、全体像が分かりにくくなった」と約5秒間、頭を下げた。

 しかし、質問が重複し始めた中盤以降は余裕が出たのか、時折笑みを浮かべる場面も。国家戦略特区の関係で加計学園とだけ3度面会していたことに野党側は「加計ありきだ」と攻めたが、柳瀬氏は「申し入れがあれば、他の事業者とも会った」と断言してみせた。「面会内容をいちいち、総理に報告しない」と述べて安倍首相の不関与を強調する姿に、野党席から「秘書官失格だ」とヤジが飛んだ。

 柳瀬氏がむっとした表情を見せた一幕もあった。立憲民主党の蓮舫参院議員が「あなたの記憶は自在になくし、思い出すのか」と挑発すると、「一貫して、愛媛県や今治市の方と会ったことは記憶がなく、加計学園関係者とお会いしたと言っている」と反論した。

 参考人招致が決まるまで「誠実にしっかりと国会でお話しさせていただきたい」と繰り返してきた柳瀬氏。参院予算委終了後、経済産業省に戻り、「私としては、最大限、誠心誠意、一生懸命答弁したつもり。皆様がどう受け止めたかはコメントすべきではないと思います」と述べた。【蒔田備憲、飯田憲】

官邸でのそんたく、裏付け

 官僚組織に詳しい太田肇・同志社大教授(組織論) 柳瀬氏が加計学園関係者とだけ会ったと認めたことは、官邸でそんたくが行われていたということを意味する。面会の事実を安倍晋三首相に本当に報告しなかったのなら、首相の立場が苦しくなるかもしれないとそんたくしたためだろう。官僚組織や国家戦略特区の問題点も露呈した。加計問題では意思決定過程の透明性や説明責任が求められているが、記録がなく、国民の目で事実や正当性を判断できない。事後的に外部の目で検証できるよう、打ち合わせ記録などを官僚に保存させる制度が必要だ。

官邸も自治体も文書に対するスタンスに問題あり

 情報公開に詳しい右崎正博・独協大名誉教授(憲法学)の話 国家戦略特区という目玉政策について、特定の事業者と首相官邸で3回も会いながら、記憶ベースで、あいまいな説明で逃れようとすることは納得しがたい。執務時間中でもあり、記録に残さないこと自体が異常だ。(当初柳瀬氏は否定した)官邸での面会も愛媛県に残された文書で認めざるを得なくなった。しかし、県はこれを備忘録という扱いにし、今治市は面会相手についての記録を公開していない。官邸も自治体も文書に対するスタンスに問題があると言わざるを得ない。

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