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余録

19世紀初めにシンガポールを建設した英国人ラッフルズは…

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 19世紀初めにシンガポールを建設した英国人ラッフルズは、鎖国日本に近代化の芽があるのをいち早く見抜いた西欧人の一人だった。どんな情報源からか、日本人は好奇心に満ちた活発な精神の持ち主だと説いた▲だからわずかな刺激さえあれば、「欧州文明と同じ高さの文明を獲得するまで改良し続ける」という。彼の対日通商計画は日の目をみなかったが、シンガポールは東インド会社の貿易独占に対抗する自由貿易の拠点として建設される▲「ここはすべてが生命と活動です」。人口200人ほどの漁村がほんの1年間で中国人やマレー人、無数の船が行き交う1万人の都市になったのは自由貿易の「魔術」だとラッフルズは胸を張った(信夫清三郎(しのぶ・せいざぶろう)著「ラッフルズ伝」)▲さて今時珍しい閉鎖国家の独裁者も、自由貿易に異を唱える超大国の大統領も、分け隔てなく行きあえる交易都市国家シンガポールでの米朝首脳会談となった。時は来月12日、世界が息をのんで見守る「朝鮮半島の非核化」の行方だ▲今や世界有数の富裕都市であるシンガポールは、これまでも米朝間の外交接触の舞台となっている。トランプ米大統領はともかくとして、金正恩(キムジョンウン)委員長には軍事に頼らない開放体制がどんな繁栄をもたらすかをしかと見てもらいたい▲派手な舞台で目を引くパフォーマンスをくり広げようと、実行可能な合意をきちんと固められないと外交とはいえない。今は重量級の素人外交を確実な非核化へ導いてほしいシンガポールの「魔術」だ。

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