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加藤陽子・評 『胡適 1891-1962 中国革命の中のリベラリズム』=ジェローム・グリーダー著

 (藤原書店・8640円)

思想と行動を丹念に跡づけた基本文献

 胡適と聞いて、ああ、あの端正な風貌の知識人だと思い浮かべられる人は今どの位いるだろうか。

 評者にとっての胡適とは、恐ろしいまでの暗澹(あんたん)たる覚悟を自国民に求めた、気迫みなぎる人として記憶されている。日中戦争の始まる2年前の1935年、南京国民政府期の中国の話だ。この時胡適は、中国の取るべき道をこう説いていた。今、日本が中国に全面戦争を仕掛けられないのは、米国の海軍力とソ連の陸軍力を恐れるゆえだ。中国は米ソを巻き込みたいが、2国とて簡単には腰を上げまい。ならばどうするか。方法は一つ。中国自身が犠牲を払い、日本との戦争に単独で数年間耐えるほかはない。長江や海岸線は封鎖され、天津・上海はむろんのこと、国土の大半も占領されるだろう。だが、そうして初めて、太平洋で米国による海戦が、大陸でソ連による陸戦が始められるようになるのだと。

 米ソの介入を安穏と待つのではなく、肉を切らせて骨を断つ方策を、この文人は要路に提案していた。このよ…

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