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岡山市

「幽霊消防団員」348人に1460万円

 岡山市が2015~16年度、一度も活動していない348人の消防団員に計1460万円の報酬を支払っていたことが市への取材で分かった。348人は、全消防分団が原則参加する年1回の訓練大会やその練習にも参加しておらず、「幽霊団員」の可能性がある。公金の流用、緊急時の団員不足などにつながりかねず、市消防局は実態調査を始める。

 長期間活動していない団員の存在は各地で問題化しているが、これだけ大人数の存在が判明するのは異例だ。

 市消防局によると、市消防団には17年度、4577人が全99分団に所属している。市は活動実績にかかわらず、各団員に年2万1000円(一般団員)の報酬を支払っている。また、団員が出動すると各分団長が市に報告し、出動に応じて市が団員に手当を支給する。全分団が原則参加して消火技術を競う年1回の操法訓練大会などへの参加も支給対象だ。

 毎日新聞は、事実上退団しているにもかかわらず報酬が支払われている団員の存在を把握し、今年2月、市に調査を求めた。その結果、15~16年度で全体の約8%に当たる348人は出動・訓練参加の報告がゼロだったことが判明した。

 消防庁の通達によると、報酬・手当は団員個人の口座に振り込むことになっているが、消防団の関係者によると、実際には分団側が口座を管理しているケースが少なくない。市消防局は「緊急時にどれだけの団員が配置できるのかは正確に把握する必要がある。実態を調査し、改善を検討したい」としている。【高橋祐貴】

通帳は分団管理、飲食代にも 退団拒まれたままの男性

 「公金が何に消えているのか。市はしっかり調べてほしい」。約5年前に体調を崩して消防団からの退団を申し入れて以来、団員としての活動をしていない岡山市の男性は毎日新聞の取材に応じ、こう訴えた。申し入れは分団に拒まれた。昨年、口座の入出金記録を取り寄せると、市からの報酬が引き出され続けていることが判明した。

 男性は知人の誘いで消防団の富山(とみやま)分団に入り、振り込み用の口座を農協で開設してキャッシュカードと通帳を分団長(故人)に渡した。分団が開く月1回の飲み会はほぼ強制参加。主な会場は分団の倉庫の2階で、チラシずしやすき焼き、缶ビールなどが出た。飲食代は無料で、分団長に尋ねたところ、「みんなの報酬や手当で賄っている」と言われた。疑問を感じて口座の明細を見せるよう求めたが、「分団で管理している」と拒まれたという。男性は「退団を拒んだのも、プールできるお金が減るからではないか。飲食代に使っているのなら税金の無駄遣いだ」と語った。

 分団の現団長は取材に対し、団員には入団時に誓約書を書いてもらい、同意の上で口座を管理していると主張。集めた報酬は分団の経費のほか、飲み会や旅行の代金の一部などに充てていると説明した。事実上退団した団員の報酬を使っていることについては、「うちでは原則、後任を連れて来ないと辞められないので団員という認識だ。分団の責任ではない」と話している。

 同市のある消防団員は「仕事も年代もバラバラな人たちがまとまって行動するには、日ごろから付き合いを深めておくことが重要で、飲み会は必要だ」と理解を示した。

 【ことば】消防団

 消防組織法に基づいて各市町村に設置され、一般市民で構成される消防機関。入団や退団は自由。火災が発生した際に消火活動や人命救助をする。1956年には全国に約180万人いたが、2017年4月時点で85万人に減っている。それでも消防職員(約16万人)に比べると5倍以上と動員力は高い。特に消防署が近くにない場所では、消防団の方が現場に早く到着することが可能で、消防隊が駆け付けるまでの消火という重要な役割を担う。

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