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人ふでがき

出版記念朗読会を開いた難病の元シンガー 土屋竜一さん(53)=佐久市 /長野

できることは精いっぱい

 10歳で難病の筋ジストロフィーを発症しながらも、前を向いて生きた少年時代の体験を基にした全10話の物語「ぼくにできること」を出版した。それを記念した「そよ風の朗読会」を4月末に佐久市で開き、盛況だった。

     物語の主人公・リュウちゃんが住む地方では、わんぱくな子どもを「ゴタ」と呼ぶ。リュウちゃんは行く先々で冒険やいたずらを繰り返すゴタそのもの。さまざまな出来事に遭遇するが、病気やいじめに負けず、自分にできること、できないことに向き合いながら成長していく。その物語には「できることは精いっぱいやる」「あきらめない」といった自身の生きる姿勢が反映されている。

     かつてシンガー・ソングライターとして各地でコンサート活動を展開し、車いす姿で涼やかな美声を響かせた。声を失ってからは作曲や執筆活動に励んできた。単行本にした物語は、体が不自由なために我が子の世話が十分できず、自分にできることとして読み聞かせ用に書いたものだ。

     朗読会では、元アナウンサーの岩崎信子さんと小海町の朗読ボランティアが本の物語を読んだ。小諸市の合唱団と、以前にコンサートで共演した声楽家の下平真弓さんも土屋さん作曲の「出会いはたからもの」「ビューティフル」などを歌い、会場を盛り上げた。

     自身も人工呼吸器に発声用器具を付け、関係者の座談会に加わった。「母を見送り、父も3カ月前に亡くなった。親を見送ることができるとは思わなかった。葬式で号泣したが、今はまたあきらめないで頑張ろうと思う」と元気な声を披露。「周囲の支えで本ができた」と感謝し、拍手を浴びた。

     エンディングでは出演者や会場の参加者と共に「出会いはたからもの」を大合唱。ステージ上で大きく口を開け、歌うその姿は輝いていた。【武田博仁】


     ■人物略歴

    つちや・りゅういち

     佐久市生まれ。筋力が低下する筋ジストロフィーを発症後、車いす生活に。1985年からシンガー・ソングライターとして活動。94年、メジャーデビュー直前に呼吸不全を起こす。その後は気管切開して声を失い、人工呼吸器を装着。現在は在宅勤務会社員をしながら、作曲・執筆に取り組む。著書にエッセー集「出会いはたからもの」、ルポ「日本でいちばん働きやすい会社」など。

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