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兵庫

シカが広葉樹を食い荒らし 「共生の森」険しい道

朝来市の山中で網柵に絡んだシカ=和歌山県森林動物研究センター提供
シカよけの柵の奥に広がる広葉樹の植林地について説明する長野豊彦さん。植栽から3年が経ち順調に生育しているという=宍粟市で2018年5月1日午後2時55分、井上元宏撮影

 人里に出没するシカやクマなど野生動物を山へ戻すことなどを目的にドングリ類など広葉樹林を育てる兵庫県の事業が、シカに食い荒らされる事態が頻発している。2016年度までの11年間に整備した137カ所(318ヘクタール)のうち、2割で生育不良が判明した。野生動物と共生する森を守ろうと、県は再植林事業を設け、地元住民もパトロールに奔走している。

     野生動物の生息地作りのための広葉樹植林は、国が06年度に森林・林業基本計画に盛り込んでいる。県も同年、県民緑税などを財源に、スギ・ヒノキの人工林を伐採した後にミズナラやブナなどの広葉樹を植えたり、広葉樹林を間伐して成長を促したりする事業を始めた。

     シカはスギ・ヒノキの植林に対しても、早くから被害を与えていた。広葉樹でも食害が予想されたため、県は植林地を網柵で囲む費用を助成。森林所有者に適切な管理も求めた。だが、台風や大雪で柵が破損するなど、シカの侵入を防ぎきれないのが実情だ。

     住民が懸命に守る森もある。宍粟市で2ヘクタールに6000本の広葉樹を植えた東河内生産森林組合では、針金を織り込んだ網柵(高さ1・2メートル)で植林地を囲み、内部にも細かい間仕切りを設置した。シカが侵入しても被害を最少面積に抑える工夫だ。月1回の見回りで柵が食いちぎられたり、シカが絡まったりしているのを見つけると、補修に走る。長野豊彦組合長(72)は「以前に広葉樹を植えた場所はシカに食い荒らされた。繰り返したくない」と力を込める。

     こうした取り組みを支えようと、県は昨年度、広葉樹を再植林する費用を全額助成する事業を設けた。県豊かな森づくり課は「広葉樹林は土砂崩れなど災害防止にも役立つ。諦めることなく植林を続けたい」と話している。【井上元宏】

    「捕獲の強化必要」

     森林総合研究所多摩森林科学園の小泉透研究専門員の話 全国ではスギやヒノキの人工林が伐採期を迎えており、新たな植樹ではシカの食害が大きな障害となる。対策として捕獲の強化が必要だ。広葉樹の植林は全国でも広がる途中で、兵庫県の取り組みは先駆的なだけに失敗も含めて参考になる。

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