メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

石川

「合葬墓で墓じまい」広がる 先祖への思いで葛藤も

浄土真宗大谷派法句寺が管理する永代供養墓=金沢市山科町で2018年5月8日、石川将来撮影

 少子化や核家族化の進行で無縁墓が増える中、先祖代々の墓を撤去して合葬墓(永代供養墓、合同墓)に納骨する「墓じまい」が広がっている。寺院などに管理や供養を依頼でき「後継者問題が片付いた」と安心する人も多いが、一方で、受け継いだ墓を手放す葛藤もある。利便性やサービスの充実だけでなく、「親族の気持ち」の観点から考える必要がありそうだ。

    「余力のあるうちに」

     金沢市野田町の大乗寺山霊園。街並みを見渡せるのどかな場所に、薄紫色の大きな墓がある。家族葬などを手掛ける「心泉の丘」(同市小将町)が販売し、真宗大谷派法句寺(同)が管理する永代供養墓だ。1997年の建立以来、250世帯以上が利用。法名板に刻まれた名前は、ここ数年で急増した。

     「同じ霊園のお墓に草が茂って無縁仏のようになるのを見て、『いつか我が家も』と不安になった」と話す金沢市のパートの女性(58)は一昨年、墓じまいをした。一人っ子で、既婚だが子供はいない。先祖の遺骨をこの永代供養墓に納めた。「余力のあるうちにできてほっとした」

     合葬墓は全国的に広がりを見せている。2016年1月には内灘町が県内で初めて、町営の霊園内に自治体管理の合葬墓を建立。9~20万円で納骨でき、生前予約も含めて現在348人が利用している。また、津幡町も今夏、町営墓地で合葬墓の利用を開始する予定だ。

    「申し訳ない」

     世間はどう受け止めているのか。心泉の丘は2月、北陸3県の30歳以上を対象にインターネット上でアンケートを行い、518人から回答を得た。墓じまいという言葉を「知っている」と答えた人は55.6%。「実施した」は1.7%にとどまるが、「検討中」「検討したことがある」と合わせると16.2%に上った。

     また、全体の53.9%が「後継者がいないので肩の荷が下りた(下りそう)」「子供に負担をかけずに済み安心した(しそう)」と答える一方で、「先祖に申し訳ない」という人が29.9%。「既に済ませた」「今後行う予定」と肯定的に捉える人に限っても、18%が先祖への後ろめたさを感じており、墓じまいを巡る複雑な心境が浮かび上がった。

    問われる「お墓観」

     墓じまいは、こうした葛藤や不安といかに折り合うかが重要となる。内灘町の担当者は「合葬墓の案内はできても、町が宗教的な行為を執り行うなど心のケアに関わるのは難しい」と話す。同町の合葬墓では、供養を必要とする親族は自分で僧侶などを探し、依頼しているという。

     「終活」の過程で気持ちを整理していく人も。金沢市の無職の女性(80)は、18年前に夫を亡くし自宅近くに墓を建てたが、自分の死後は夫と一緒に、寺が管理する合同墓に入るつもりだ。「以前は『他人の遺骨と一緒になるなんて』とも思ったけど、県外に嫁いだ一人娘に墓の管理で心配をかけたくない。夫も納得してくれるはず」。ただし「2~3年は夫と2人だけの時間がほしい」との思いを娘に伝えている。

     それぞれの「お墓観」が問われる時代。記者もいずれ同じ課題に直面する。我が家の墓にじっくり向き合わなければと感じた。【石川将来】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 安倍首相 観閲式視察 中国、北朝鮮をけん制
    2. 松尾貴史のちょっと違和感 新潟女児殺害 2次被害に無神経なメディア
    3. 陸上 山県が2位 優勝はガトリン 男子100メートル
    4. キューバ 旅客機墜落 死者は110人に
    5. 旧優生保護法 強制不妊、妻に言えず 提訴の男性「人生返して」

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]