作家活動を始めて14年。これまで『国家の罠』や『獄中記』など話題作を次々と世に送り出してきた著者が、初めて本格的な旅行記に挑んだ。「自分の原点は15歳のあの夏だった。自分の体験を共有できればいいなと思いました」。『十五の夏』(幻冬舎)出版のきっかけをこう語る。
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1975年の夏、15歳の著者が、両親からの高校の入学祝いとしてポーランドやハンガリー、ルーマニアなど東欧各国やソ連を42日間かけて旅した時のことをつづった。東西冷戦の下、西側の少年が東欧やソ連を1人で旅行するのは極めて珍しかった時代。「当時、東側の国々は『この世の地獄』とか『この世の楽園』とか、評価が分かれていた。実際はどうなのかなと。ロシア文学にも興味があったし、自分で見てみたいと思いました」
本書では、東欧各国とソ連のまちの雰囲気や人々の様子、ペンフレンドとの交流の場面、列車での移動や宿泊先の確保に悪戦苦闘する姿が、喜怒哀楽を交えながら生き生きと描かれている。「日本よりも公共交通機関が発達し、住環境も素晴らしかった。交流したポーランドやハンガリーの人たちは、私生活をすごく楽しんでいた。本当に衝撃的でした」
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