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ミラノ・デザイン・ウイーク/上 日本人デザイナーが存在感 シンプルな美しさ、市場拡大の切り札

吉岡さんがデザインしたカルテルの新作椅子に見入る来場者=永田晶子撮影
深澤さんとマルニ木工の新作椅子=2018年4月17日、永田晶子撮影

 世界最大規模のデザインの祭典「ミラノ・デザイン・ウイーク2018」が4月中旬、約1週間にわたり伊北部のミラノで開催された。同国産家具を売り込むため1961年に誕生した「ミラノサローネ国際家具見本市」(サローネ)が中核行事だが近年、日本のデザイナーや企業も注目を集める。現場を2回に分けて報告する。

 サローネの舞台はミラノ近郊にある広大なフィエラ会場。約20万平方メートルの敷地に24の展示場が並ぶ。今回は運営会社の審査を経て選ばれた34カ国の1800社超が出展。それぞれ工夫をこらして新作家具やインテリア用品をブースに飾り付け、バイヤー(買い付け担当)らプロにアピールする。

 2009年に参加を始めたマルニ木工(広島)は、2年前から審査が厳しく花形会場とされる16号館に出展する。看板商品はプロダクトデザイナーの深澤直人さん(61)と英国出身のジャスパー・モリソンさんが継続的にデザインする木製の椅子やテーブル。同社が得意とする木材の曲げ技術を使ったシンプルで洗練された新作に多くの人が見入った。

 十数年来、同社と組む深澤さんは伊の高級家具B&Bイタリアやプランクでも新作の椅子などを発表。来場者に記念撮影をねだられるなど、世界的トップデザイナーの一人として注目を浴びる。「明快なものづくりの哲学を持つメーカーと長く付き合い、高め合ってきた。各社の技術力が生きるデザインを心掛けている」と語る。

 アートや建築分野でも活躍する吉岡徳仁さん(51)は、やはり花形の20号館にブースを構える伊カルテルのもと、数年がかりで完成させた椅子を披露した。樹脂の網を二層に成形した構造美が光り、「社の技術を結集した画期的な作品」と同社幹部は誇らしげ。ハニカム(蜂の巣)構造の紙の椅子などが欧米の美術館に収蔵されている吉岡さんは「樹脂の新しい可能性を見せたかった。構造からデザインすることで本当に新しいものができる」と話す。

 幅広い製品デザインを手掛ける岩崎一郎さん(53)は伊アルペール社に依頼された新作の家具シリーズを発表した。ベンチ風ソファや高さが3段階あるテーブルなどで、空間の広さや用途に合わせ、さまざまな形に組み合わせることができる。「世界中の美術館や病院、オフィスで使ってもらうことを想定した。異なる体形、慣習を持つ人々が一様に気持ち良く使えるデザインにする必要がある」と岩崎さん。

 期間中、サローネと別に市内では一般の人も参加できる数百の展示やイベントが行われる。そこでも日本人デザイナーが存在感を見せていた。

 佐藤オオキさん(40)率いるデザイン事務所「nendo」の個展は連日、入場待ちの長い行列ができた。03年以来、サローネでの発表や展覧会を重ね、「毎回、発見があるので楽しみ」(伊のデザイン関係者)という声が代表するように、人気が定着している。今回はファスナーやタイルなど、日本企業が開発した素材や技術を生かした10の作品を展示した。

 ファッションブランド「ミナペルホネン」のデザイナー、皆川明さんはオリジナルの国産生地を用いたオブジェ風クッションを披露する展示会を開いた。皆川さんは伊陶器リチャード・ジノリやデンマークの生地会社クヴァドラの商品デザインも手掛けている。

 インテリア誌「エル・デコ」ブランドディレクターで世界のデザイン事情に詳しい木田隆子さんは「国際的なデザインの潮流を語る時に深澤、吉岡両氏とnendoは今や欠かせない存在」と説明。それぞれ作風は異なるが、共通性に「とことん突き詰めたシンプルさと詩的な美しさ」を挙げた。「サローネは元々『イタリア人がデザインするイタリア家具の見本市』だったが生活様式と嗜好(しこう)の多様化、中東とアジアの消費拡大に対応し、異なるテイストを持つ外国人デザイナーの起用を進め、発展してきた。その流れの中の最先端の動きとして、日本のデザインが新規マーケット拡大のための切り札になっている」と話す。【永田晶子】=次回は23日掲載

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