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パレスチナ

「戻る。それが正義だ」故郷追われ70年

「故郷」への思いを語るゾルフィカル・スウェイルジョさん=ガザ市で2018年5月9日午後、高橋宗男撮影

 【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)高橋宗男】1948年のイスラエル建国に伴って故郷を追われ、約70万人ものパレスチナ難民が発生した「ナクバ(大惨事)」から15日で70年を迎えた。ガザで抗議デモに参加する薬剤師、ゾルフィカル・スウェイルジョさん(54)は「私たちは戻らなければいけない。それが正義だろう」と強く訴えた。

     「私はアスカラン(イスラエル・アシュケロン)出身。あの土地のことなら何でも知っています」。スウェイルジョさんは胸を張る。郷土史家として出身地の本をまとめた父ムハンマドさんが、故郷のことを全て教えてくれたからだという。

     70年前、祖父母と共にガザに逃れた父。2、3日で戻れると思っているうちに、月日が流れていった。クウェートに出稼ぎした親類が「家を買ったら」と送金してくれたが、「私たちの家はアスカランにある」とガザでの借家暮らしを続けた。父は2002年に74歳で亡くなった。

     スウェイルジョさんは78年にアシュケロンを訪問した。町並みは父が教えてくれた通りだったが、実家はイスラエルの役所の事務所として使われているようだった。

     ガザとイスラエル領の行き来がまだ容易だった91年に再訪。ドアをノックすると、ユダヤ人の老人が出てきた。「昔ここに住んでいた」と説明しようとしたが、警察を呼ばれて追い払われた。それ以来、「故郷」には足を踏み入れていない。

     実家は今も残っている。取材した地元テレビ局が今年4月に映像を見せてくれた。実家の隣にあったモスク(イスラム礼拝所)は外観を残したまま、内部はパブになっていた。

     「ナクバの日」の15日、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸やガザ地区、周辺各国に暮らすパレスチナ人は悲しみの記憶を刻み込んだ。ガザ地区では3月30日から難民の帰還権を求める抗議デモが続く。スウェイルジョさんは「故郷に戻るための意思表示だ」として今後も参加するつもりだという。

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