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 日本映画界に待望久しい作品だ。警察とヤクザの攻防を描く「孤狼の血」のことである。ただ、何事も思うようにはいかない。最終興行収入見通しは、10億円を超えるかどうか。足りない。年配者中心はいいが、若者層が少な過ぎる。大きな広がりをもちえない作品なのか。

     一つだけ言う。警察とヤクザの型破りな攻防戦は、明らかに東映ヤクザ映画の流れをくむ。実は、こここそが待望久しい理由なのだが、本作はこの部分に少し引きずられた気がしてならない。古めかしさの残像がときどき、迫力描写の数々からチラチラ見えて仕方なかった。

     宣伝もまた、「仁義なき戦い」や東映調の色合いを濃くし、ヤクザ映画復古の趣になった。ヤクザ映画、バイオレンス映画は、待望論者にはウケるが、今の時代では忌避感のほうが強い。ハードな中身が、やわになったこの時代に広く受け入れられる方策はなかったのか。

     悪徳刑事(役所広司)から新米刑事(松坂桃李)へと話の比重が移ってから、映画はぐんぐんさえ出す。ポイントはここだ。古くて新しい個人と組織の問題が、苛烈さの中から頭をもたげてくるからである。ここを中身、宣伝ともにハードさを温存しつつ、より強く押し出せなかったか。果敢な製作姿勢に敬意を表す。だから言うのだ。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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