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国を提訴後、記者会見で笑顔を見せる原告の小島喜久夫さん(右)と妻麗子さん=札幌市中央区で2018年5月17日正午、貝塚太一撮影

 障害者らに不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)に基づき10代で手術された、東京、宮城、北海道に住むいずれも70代の男女3人が17日、国に総額計約8000万円の損害賠償を求めて東京、仙台、札幌の各地裁に一斉提訴した。3人は「子どもを産み育てるかどうかを決める権利を侵害された」とし、「幸福追求権」などを保障する憲法に違反していると主張。政府や国会が手術を受けた人を対象とする救済制度の創設を怠った「不作為」の状態が現在も続き、精神的苦痛を被ったと訴えている。

 原告は、北海道の小島喜久夫さん(76)と、飯塚淳子さん、北三郎さん(75)の名でそれぞれ活動している宮城と東京の2人。3人は提訴に先立ち、手術を受けた各道県へ記録の開示を請求したが、保存期間終了を理由に見つかっておらず、記憶や証言、手術痕などから当事者であるとした。

 訴状によると、北さんは中学2年だった57年、入所していた仙台市内の児童自立支援施設(当時は教護院)の職員に連れられ手術され、のちに施設の先輩から不妊目的だと知らされた。旧法は障害のある人たちを手術対象としたが、北さんは障害があると診断されたことはなかった。

 飯塚さんは16歳の時に診療所で手術され、直後の両親の会話から不妊目的だったと知った。国に被害を訴え続けた一方、手術記録の「不存在」で提訴を諦めていたが、宮城県が今年2月、活動経緯などから当事者と認める方針を打ち出し、提訴を決断した。

 小島さんは19歳だった60年ごろ、家族との関係悪化で生活が荒れ、札幌市の精神科病院に強制入院。診察なしに当時の病名「精神分裂病」と診断され、同意なしに不妊手術させられた。今年2月に妻に告白、名乗り出ることも決めた。

 3人は、政府(厚生労働省)について「旧法に基づく人権侵害の実情を知りながら漫然と放置した点で、違法な不作為がある」と主張。国会についても「(少なくとも)旧法が改正された時から、救済措置を議論すべきだったことは明らかだ」と訴えている。

 強制手術を巡る国賠訴訟は、宮城県の60代女性による今年1月の仙台地裁への提訴に続く第2陣で、一斉提訴は初。国側は60代女性の初弁論で請求の棄却を求めており、今回も同様の主張をする見通しだ。3人の弁護団を中心に早期救済を目指す15都道府県の弁護士らが27日に「全国弁護団」を結成し、大規模な集団訴訟を目指す。

 一方、今年3月発足の超党派の国会議員連盟が来年の通常国会で救済法案の提出を目指すなど、法廷外では救済に向けた動きが進んでいる。【服部陽、遠藤大志、安達恒太郎】

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